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デヴィッド・バーンの興した変態レーベル、ルアカ・ボップ

要約☆彡

☞トーキングヘッズが解散する2年前の89年、デヴィッド・バーンは自分のレーベル、ルアカ・ボップを立ち上げる。

このレーベルでバーンは、音楽史に埋もれてしまったミュージシャンの再発をしていく一方で、クリントンやゲギー・ターといったカテゴライズ不能なミュージシャンの名アルバムも多くリリースしてきた。


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「アメリカン・ユートピア」の公開で再度脚光を浴びているデヴィッド・バーン。彼がシーンの表舞台から消えていた90年代の活動を、彼の創設したレーベル運営を通して描いてみたいと思います。

Luaka bop

バーンにとってキャリア・ハイとなったバンド、トーキング・ヘッズが終焉に向かう頃、彼は自分でレーベルを立ち上げました。それが1989年設立のルアカ・ボップ(Luaka Bop)でした。

彼が90年代を通じて最も精力的にやっていたのは、レーベル運営だと思います。このレーベル、面白いアーティストが沢山いるんです。

再発物としては、まず、スピリチュアルジャズのアリス・コルトレーン(ジョン・コルトレーンの妻)の編集版。それから、ナイジェリアン・シンセ・ファンクのウィリアム・オニーバー。またジョニー・オーティスの息子シュギー・オーティスの名盤もしました。

ジョニー・オーティスってギリシャ移民なのにブラック・コミュニティに浸って、後にR&Bのゴッドファーザーと呼ばれるに至る人です。
今でいうエミネムみたいな?

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ブラジルの現代ポップスの名オムニバスも、シーンに多大な影響を与えました。(これについては少し前にNoteに書きました。)
ブラジル物でいえば、オス・ムタンチスやトン・ゼーなどのブラジル・トロピカリズモの再発もしてます、

最近の作品ではイギリスの音楽プロデューサー、サム・シェパードによるフローティング・ポイントというバンドがいます。今年ファラオ・サンダースとロンドン・吹奏楽団とのコラボアルバムが出ています。

あと有名どころでは、Zap Mamaなどのアフロ・ポップでしょうか。

いずれにせよ、洋楽に詳しい人なら、この時点で一筋縄ではいかないレーベルだと気づくでしょう。

クリントンとゲギー・ター

このレーベルから作品を出したアーティストで特に私が気に入っているのが、クリントンとゲギー・タ-です。

クリントンは、イギリスの「カレーパンク」と言われたコーナーショップの別名プロジェクト。在英インド人がやってるロックバンドだから「カレーパンク」( ^ω^)・・・ 酷い偏見ですけどね、NME辺りの無責任なロックジャーナリストが勝手に付けたんでしょう。

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まぁそれは置いておいて、まず本体のコーナーショップが良いバンドです。
ベックやオアシスの前座でツアーなんかも出てました。

Brimful Of Ashaでブレイクしました。これはファット・ボーイ・スリムのリミックス。


田中宗一郎氏のSNOOZERなんかでは、ヘビープレイされておりました。

そういえばコーナーショップ、確か今年、久々10年振りくらいに新しいアルバムを出したんですよね。(未聴…)

で、肝心のクリントンなんですが、「ブレイクビーツで踊っちゃってよ」というPVです。ガイ・リッチーのスナッチみたいなPVになってます。

あとは、ゲギー・ター(Geggy Tah)です。
タワレコの紹介では「R&B、ファンクなどをルーツにスティーリー・ダンを思わせる質の高いポップス」と書かれていますね。
スマッシュヒットしたWhoever You Areは、メルセデス・ベンツ、シルカ(Circa)の2001年CMで使われていたそうです。

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この曲⇩

マイルスのオン・ザ・コーナーみたいなリズムにふわふわしたボーカルが乗ってたり、よく分からないアルバムです。決してAORを期待してはいけません。私見ではスティーリー・ダンからは、かなり遠い気がします。

曰く言い難しながら、結構名盤です。インディ・レーベルだし少ない制作費を感じさせる音作りですが、楽器編成からしてなんかおかしいので、アルバムとして聴くと飽きの来ない良い物になっています。

ちなみにこの曲が収録されているアルバム、「グランド・オープニング」はスーザン・ロジャースのプロデュース。 

スーザン・ロジャースは、プリンスがブイブイ言わせてた頃の女性サウンド・エンジニアです。パープル・レインからブラック・アルバムくらいまでの時期です。今見たら、かつてトリッキーのプロデュースもしてますね。今は大学でミックスダウンとか教えてて、教授もやってるらしい。

☝プリンスとの思い出話語ってます。

私の知る限りで、Luaka Bopの魅力を書いてみました。
最近のは全然フォローできていないので、追々拾っていきたいなと思っています。

バーンのこういったレーベル・ファウンダーとしての経験と人脈も、今の「アメリカン・ユートピア」に生かされていると思います。


頂けるなら音楽ストリーミングサービスの費用に充てたいと思います。