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CS単体で利益を出しプロフィットセンターとして認められる方法

企業の課題をカスタマーサクセス起点で滑らかにするSuccess Goal Lab.代表の大竹健斗です。

大企業・ベンチャーでの営業、PM、CS、経営の経験を基に、事業や組織でよくある課題とその解決方法についてnoteで発信しています。


初めに

前提として、僕の経験上、経営層でCSの概念や価値の浸透はまだまだだと感じています。

CSの概念や価値は数値化しにくく、数値化できる材料といえばせいぜい解約率くらいで、開発や営業に比べて株主への説明を求められません。トップラインを伸ばすのも営業だと思われていることがほとんどです。(売上維持率やNRRで語られることがSaaS業界では増えてきている印象ですが。)

僕は経営者にこそCSを理解してほしいと考えています。
しかし今すぐに経営層へCSの存在価値を浸透させるのは現実問題として難しいので、CSマネージャーのみなさんに、ぜひこちらを読んで積極的に実践していただきたいと思っています。

経営者からの認識が得にくい状況ですが、ビジネス拡大のためにはCSの重要性を伝える努力が必要です。CSマネージャーの存在や部門としての取り組みが、CS単体で利益を出すための鍵となります。経営者への説得や成果の可視化を通じて、CSの真の価値を認識させていきましょう。

CS単体でなぜ利益を出す必要があるのか

CS単体で利益を出すことの重要性について、経営者がなかなか理解していない現状について説明します。

経営者でCSの重要性を理解している人は少ない

CSはしばしば「費用対効果の低い部門」と見られがちです。しかし、CSが単体で利益を出すことはとても重要です。経営者がCSの重要性を理解していない場合、CS部門は予算の削減や戦略の制約を受けることがあります。

CSは顧客に対する伴走型支援を行うため、一次情報を手に入れることができます。この情報はビジネスを拡大・存続させるためには非常に重要です。また、既存顧客と関係を築き、アップセルやクロスセルを生み出したりと、売り上げにも直接貢献することが可能な部門です。

そのため、経営者がCSの重要性を理解していないと、本来CSの役目である伴走型支援が滞り一次情報も入手できなくなり、会社全体の成長が鈍化してしまいます。

CS単体で利益を出さないと他部門の予算に戦略が左右される

CSが利益を出さない場合、他の部門の予算や戦略に影響を与える可能性があります。経営層は経済的な成果を求める傾向にあり、CSが単体で利益を上げることができれば、他の部門への依存度を減らすことができます。

予算が少ないと人材が確保できずリソース不足になり、CSで出来ることが限られてきます。顧客に対して能動的・積極的に働きかけるのがCSの役割ですが、ここに制約が発生すると結果的に顧客折衝の体験が積み上がりません。

ゆえに、既存顧客へのフォローアップが減少すると信頼を失い、売上成長が下がります。結果として、他の部門が行おうとしている戦略にも影響を与えてしまうのです。

CS単体で利益を出し、CS内をもう一つの会社のようにして運営する

CS部門をプロフィットセンターとして認められるためには、CS自体が利益を出す組織として運営していく必要があります。CS内での費用対効果を最適化し、収益を最大化するためには、効率的なプロセスやプロフェッショナルなサービス提供などが求められます。

例えば、プロダクト活用の知識が浅い顧客には、活用支援を別途セミナー形式で行ったり、利用開始までのデータ構築を代理で行うなど単発的なサービスを有料で頂戴します。また運用ルールの設計など、PDCAサイクルの再構築などを提案したりと、コンサルティングサービスで収益を作り、部門を運営していくことが重要です。

CSのKPIを企業のKPIに接続させる

CSのKPI(Key Performance Indicator)を企業のKPIに直結させることは、CS部門が利益を出すために重要な要素です。以下では、CSのKPIを企業のKPIに接続させる方法について解説します。

プロダクトの価値とCSの価値は別物

まず、CSのKPIを企業のKPIに繋げるためには、プロダクトの価値とCSの価値を明確に区別する必要があります。プロダクトの提供価値は一つの側面であり、CSはそのプロダクトの価値を顧客に届けるための重要な役割を果たします。

CSは、初歩的な使用方法から目的達成までの知見を提供するなど、広範囲で顧客に寄り添う部門です。プロダクトの価値を顧客に伝えるため寄り添ったことで生まれる、成功体験や利益をKPI としています。

この成功体験により、プロダクト価値が更に向上します。この価値あるプロダクトを世に広め、利益を上げることが企業としてのKPIです。企業として世間に広めたい価値は何かを明確に掲げ、CS部門に接続させ、日頃の業務で顧客に浸透させていくことが重要です。

プロダクトの提供価値をCSが加速できるようになっているか

CSのKPIが企業のKPIに繋がるためには、CSがプロダクトの提供価値を加速できる仕組みが必要です。顧客のニーズや要望を的確に把握し、迅速に対応することが求められます。
また、CSのプロセスやツールを最適化し、効率的に顧客サポートを提供することも重要です。

具体的には、顧客からの不安を減らすため一次応答までの時間を短縮する、他部門へのエスカレーションの回数を減らすなどです。何がトリガーになっているのかを見抜く力を養い、データを活用してCSでの対応可能業務を増やしていくことが重要です。そのためには、対応品質を均質化した回答をストックしておいたり、属人化させることなく情報共有を部門内で徹底することが重要です。

CSのKPIが企業のKPIに繋がらないと成果は認められない

CS部門がプロフィットセンターとして認められるためには、CSのKPIが企業のKPIに繋がることが必要です。CSの成果を具体的な数字で示し、企業の目標達成に寄与することが求められます。

例えば、顧客満足度やリピート率の向上、アップセル・クロスセルといった部分も直接的な収益に繋がるため数字で表すことが重要です。他には、顧客からの口コミや紹介の増加などが具体的なKPIとして考えられます。これらは直接的な収益に繋がらなくとも、製品としての価値が高まり、企業としての信用が向上していることを示す部分だからです。

CS単体で売上を作れるようにする

CS部門が単体で売上を作り出すことは、プロフィットセンターとして認められるために重要です。以下では、CS部門が売上を作り出すための方法について順を追って解説します。

BPaaSを取り入れる

従来では業務上の負荷・負担の軽減を目的とし、結果を求める作業だけの依頼が多くありました。これを解決するため企業はBPO(Busuiness Process Outsourcin)に依頼していましたが、昨今ではプロセス全体の改築や、デジタル化による業務の圧縮化を求める企業が多くなりました。これを担うのがBPaaS(Business Process as a Service)です。

BPaaSとはBPOの業務に加え、手動で行っていたプロセスをSaaSと連携し効率化を図ります。例えば、請求書などをデータ化することにより紛失のリスク防止・データ上からBPOに作業を依頼、といったイメージです。

このような提案・実行により、手動で行っていた部分が減り、顧客の根本的な課題解決が可能になります。

CSで売り上げを作るために提供する2つの型

CS部門が売上を作り出すためには、プロフェッショナルサービスを提供することが有効です。そのサービスには2つの型があります。

1つ目の型は、付加価値の高いサービスを提供することです。これは顧客が目標を達成するために定例的にサポートを行うものであり、コンサルティングなどが含まれます。

例えば、社内の情報共有を円滑・ナレッジの貯蓄する事が目的でクラウドを導入した場合、全ての人がスムーズに使用できるよう構築するため、プロフェッショナルなコンサルティングが必要になります。必要な項目作成など、適切な構築をすることで、社員達の属人化を防ぎ必要情報に素早く辿り着けます。CSは顧客の目的が達成されたことによる報酬が得られます。

2つ目の型は、高付加価値なサービスを提供することです。独自のサービスパッケージや特典を提供し、顧客の興味を引きつけることが重要です。

例えば、チャットツールの構築が終わり、日頃のトークからエンジニアリングの問題が多いのが判明した場合、依頼者と担当者が開始から解決まで進捗を管理できたり、問題内容から専門家に素早く連携されるなどといった、オプションのサービスを提供し構築します。このような単発的で高付加価値なサービスで、更なる売り上げが作れます。

プライシング

CS部門が売上を作るためには、適切なプライシング戦略を構築することが重要です。
価格設定は、提供するサービスの価値や競合状況を考慮し、顧客が受け入れやすい価格を設定する必要があります。上で説明した2つの型が適性価格になるよう、企業の利益率とCSでの工数を考慮して決めることが重要です。

また、市場を分析し、定期的な価格見直しやプロモーション活動を行うことも重要です。

工数管理

CS部門が効率的に売上を作り出すためには、工数管理が重要です。効率的な業務プロセスの確立や自動化、タスクの優先順位付け、チームのスキルマッチングなどを行い、リソースの最適化を図ります。また、顧客の要求に応じたスケジュール管理や効果的なリソース配分も行う必要があります。

CSでの支出は人件費であるため、売り上げ計算はシンプルです。
赤字に近い場合は業務が非効率である場合があるため、これらを見直さなくてはなりません。例えば、会議時間が多く作業が伸びるのであればメールでの情報共有にするなど、細かい所での見直しが重要です。定例的な作業が発生するのであれば、外部に依頼することも一つの方法です。

CSの行動を数値化して説明する

CS部門の成果を評価するためには、行動や結果を数値化して可視化することが重要です。以下では、CSの行動を数値化し、わかりやすく説明する方法について解説します。

CSの状態が一目でわかるKPIツリーを作成する

CS部門の状態を把握するためには、KPIツリーを作成することが有効です。
KPIツリーは、目標となるKPIを上位から下位に分解し、階層構造で表現します。
これにより、CS部門のパフォーマンスや課題が一目で把握できます。

例えば、上位のKPIとしては顧客満足度やリピート率を設定し、それを支える下位のKPIとしては対応速度や問題解決率などを設定します。全体パフォーマンスが下がっている場合は、下位から順に見つめ直すことが効果的です。

結果だけではなく、顧客の状態やメンバーの行動も指標に入れる

CS部門のパフォーマンスを評価する際には、結果だけでなく顧客の状態やメンバーの行動も指標に組み込むことが重要です。顧客の状態としては、問い合わせ数やトラブル件数、解決までの時間などを考慮します。

顧客のプロダクトに対する理解度をレベル別にわけるとナーチャリングもしやすく、状態や数値も可視化しやすくなります。また、メンバーの行動としては顧客対応の品質や迅速さ、チームワークなどを評価します。目に見える成果だけでなく、互いのフィードバックも考慮しパフォーマンスを評価しましょう。

アウトプットはわかりやすく天気予報みたいに図示する

CS部門の成果を説明する際には、わかりやすい図表やグラフを活用することが効果的です。例えば、KPIの達成状況を色分けして示す「天気予報スタイル」のダッシュボードを作成することで、一目で現状が把握できます。

また、トレンドグラフや比較データを活用して、改善の方向性や成果の可視化を行うことも有効です。何故ならCSの業務は広範囲にわたるため、エスカレーションのために営業やエンジニアリングといった、どの属性の業務なのか把握することが重要です。それぞれの進捗状況を可視化することで、どの分野に問題が多いのか、何が滞っているのかの共有が可能になり、素早い改善が望めます。

本記事のまとめと当社のサービスについて

以上が「CS単体で利益を出しプロフィットセンターとして認められる方法」の解説です。

最後に、当社のサービスについて触れておきたいと思います。私たちはカスタマーサクセスを起点とした事業開発・組織開発を行っています。経験に基づく独自フレームワークの提供、個人ではなくプロCSチームの提供、従業員の卒業支援制度を独自の強みとしています。お困りの際は気軽にご連絡ください!

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