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サービスのプライシングを再考する際に考えるべき4つのこと

企業の課題をカスタマーサクセス起点で滑らかにするSuccess Goal Lab.代表の大竹健斗です。

大企業・ベンチャーでの営業、PM、CS、経営の経験を基に、事業や組織でよくある課題とその解決方法についてnoteで発信しています。


プライシングの重要性

サービスのプライシング(価格設定)はサービスの価値を決めるのに最も重要なことです。市場の需要と供給を知り、適切な価格を提供する必要があります。

リプライシングは全企業の悩み

価格設定、通常「プライシング」と呼ばれるこの要素は、どの企業にとっても絶えず考えるべき課題です。

「プライシング」は単に価格を設定することだけでなく、それ以上の意味を持っています。それは、製品やサービスの価値を顧客に伝え、企業の収益を最大化するための戦略です。

適切な価格設定は市場での競争力を高め、企業のブランド価値を向上させることができます。しかし、高すぎる価格は顧客を遠ざけ、低すぎる価格は収益性を低下させるリスクがあるため絶妙なバランスが求められます。

この絶妙なバランスを理解するためにも、徹底した市場調査をすることが重要です。
そして価格に相応しいサービス価値を継続的に提供する必要があります。

プライシングを変えるだけで売上への影響が大きい

価格は顧客の購入意欲や企業の利益に直接的に影響します。

10%の価格引き下げが売上数量を20%増加させる場合、全体の売上は増えますが、利益率が低下する可能性があります。逆に、価格を10%上げても売上数量が5%しか減少しない場合、利益は大幅に増加します。

このように、小さな価格変動でも顧客の認識や購入意欲、そして企業の収益に大きな影響を及ぼすことがあります。

考え方として、製品の購入を考えている顕在層のために初回のキャンペーンなどを行い値引きをした場合、一時的に利益率は低くなりますが、新規顧客が増えリーピーターに繋がるのであれば長期的な利益が見込めます。アップデートをしたことで値上げになった場合も、それに見合った価値を引き続き提供すれば継続利用顧客が増え、大きな利益になるでしょう。

適切な価格設定は事業成功のカギとなります。実際の効果を把握するためには、価格変更前後の売上データや顧客の反応を詳しく分析することが重要です。

プライシングについて考えるべき4つのこと

サービスのプライシング(価格設定)は、顧客満足度を高め信頼を得るためにも、適切な価格でなければなりません。そして、会社の成長・売り上げにも貢献できるようプランニングする必要があります。

1:リプライシングはサービスの提供価値を上げるのかカスタマーサクセスの労働生産性を上げるのかでやるべきことが変わる

プライシングを見直す際に考えるべき最初の点は、その目的です。
価格設定の変更は、サービスの提供価値を高めるためなのか、それともカスタマーサクセス(以下、CS)の労働生産性を高めるためなのか、その目的によってアプローチが異なります。

提供価値を上げるためのリプライシングは、サービスの質や機能の向上を前提とします。
例えば、新しい機能追加やサポート体制の強化など、顧客にとってのメリットを増やすことで、価格の上昇を受け入れられるようにするアプローチです。

一方、CSの労働生産性を上げるためのリプライシングでは、内部業務の効率化や業務プロセスの見直しを行います。価格変更の背景には、コスト削減や労働の最適化があるため、その理由を顧客に適切に伝えることが重要です。

例えば、戦略設計の相談や業務代行などを引き受けるリソースがない場合、さらなるアウトソーシングが必要になります。そのため、この分の料金を顧客から頂戴する必要があります。

2:サービスの機能をリーダー、フィラー、キラーに分類して考える意義

サービスの効果的な運営や改善のため、その内部の機能や特徴を「リーダー」「フィラー」「キラー」の3つのカテゴリに分類し考察する方法はとても有益です。

各機能の役割や価値を明確にすることで、顧客に提供する価値を最大化し、サービスの成功を目指すことができます。

「リーダー」は、多くの顧客が必要とする、サービスの中核となる機能を指します。これはそのサービスの核となる部分で、多くのユーザーにとって欠かせないものです。ハンバーガーショップで例えるのであれば、主食の “ハンバーガー” です 。幅広い層の顧客が求める商品が考えられます。

「フィラー」は、一部の顧客が利用する機能であり、必須ではないがその存在によってサービスの利便性や魅力が増すものです。ハンバーガーショップで例えるのであれば、”ポテト” です。主食との組み合わせが良く、幅広い層の顧客に求められるものが考えられます。

「キラー」は、多数の顧客がその機能への魅力を感じず、購入に至らないものを指します。初回から感触が低いものもあれば、過去には価値があったかにも関わらず、現在の顧客のニーズや嗜好と合わなくなり離脱率が多いものを指します。ハンバーガーショップでも、過去数年間、季節毎の限定商品と売り出していた品が今年は販売しないということがあります。少数のファンがいるものの、大半の顧客からの支持はありません。

※ちなみに、上記は一般的に言われている事ではありますが、実は僕の解釈では少し異なります。実際にプライシングを行う際、キラー(キラーコンテンツ)を ”嫌われているので購入に至らないもの” ではなく、”一部のファンには熱烈に求められるもの” という意味で認識して進めていました。ご参考までに。

最近ではプライシングを専門に事業を行うプライシングスタジオさんという企業もあるくらいプライシングの重要性が認識されています。

3:売上予測は分類ごとの顧客単価と数を集計し、転換率と解約率を掛け合わせる

売上予測の精度を上げるためには、分類ごとの顧客単価や数の集計が必要です。特に、リーダー、フィラー、キラーの3つのカテゴリに分類した場合、それぞれのカテゴリの売上予測を正確に行うことが重要となります。

まず、各カテゴリの顧客単価と数を集計します。次に、これらの数値に転換率や解約率を掛け合わせることで、より正確な売上予測を行うことが可能となります。

例えば、リーダー製品の顧客単価が1万円、月間の新規顧客数が100人、転換率が10%、解約率が5%の場合、その月の売上予測は、 “1万円 × 100人 × 10% - 1万円 × 100人 × 5% = 50万円” となります。

このような予測を行うことで、プライシングの戦略を立てる際の方向性を明確にすることができます。

4:最も重要なことは顧客の一次情報を持っているCSがリプライシング設計に関わること

顧客の一次情報は、企業にとって非常に価値のある情報源です。この情報とは、直接顧客から得られる意見やフィードバックを指し、カスタマーサクセス(CS)が主に収集する役割を持っています。

プライシングを再考する際、”顧客がサービスに何を求めているのか・どのような価格感を持っているのか” などの情報を集約することは、価格決定する上でとても重要です。そのため、CSが持っている一次情報を参照し、リプライシングの設計段階でCSが関与することは、顧客の声を正確に反映した価格設定を行う上での重要な役割になります。

価格が高くて継続を躊躇する、他社に類似した製品・機能がありそちらを使用しているという声が多い場合は、価格を下げるのが適切でしょう。逆に、顧客が製品に満足しており、低価格と評価を得る場合、値上げをしても問題ないでしょう。

まずは日頃から、どのような価値提供が出来ているのかを理解し、顧客がどうしたら満足してくれるかを考えることが重要です。

まとめ:売上ドリブンではなく顧客ドリブンでのリプライシングにより売上を伸ばしていく

プライシングの見直しや再設計は、企業にとって重要な戦略的判断の一つです。
しかし、売上の増加を最終目標とする「売上ドリブン」のアプローチではなく、顧客のニーズや声を最優先に考える「顧客ドリブン」のアプローチが、現代のビジネス環境においてより適切であると言えます。

顧客ドリブンのアプローチでは、まず顧客の声やニーズを深く理解し、それを基に価格設定の方向性を考えます。カスタマーサクセス(CS)が持っている一次情報を活用することで、市場の変動や競合状況に柔軟に対応しつつ、顧客の満足度を高めるプライシングを実現することができます。

また、サービスをリーダー、フィラー、キラーの3つのカテゴリに分類することで、それぞれのカテゴリの売上予測や価格戦略を効果的に行うことができます。日頃からどの製品がどれに該当するのかも、CSが持っているデータを活用して把握することが重要です。

最も重要なのは、リプライシングの目的がサービスの提供価値を高めるものなのか、カスタマーサクセスの労働生産性を高めるものなのかを明確にし、それに合わせた戦略を取ることです。顧客を中心とした考え方でプライシングの見直しを行うことで、長期的な視点での売上の増加やビジネスの持続的な成長を目指すことができます。

本記事のまとめと当社のサービスについて

以上が「サービスのプライシングを再考する際に考えるべき4つのこと」の解説です。

最後に、当社のサービスについて触れておきたいと思います。私たちはカスタマーサクセスを起点とした事業開発・組織開発を行っています。経験に基づく独自フレームワークの提供、個人ではなくプロCSチームの提供、従業員の卒業支援制度を独自の強みとしています。お困りの際は気軽にご連絡ください!

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