ある手紙

『拝啓、王子サマへ
今後もあなた様のお活躍、特にあなたの左腕の大々的な活動の広がりを期待しております。

匿名より』

『拝啓、匿名様
私への応援、ありがとう。匿名様に対してはどうか健康的にお過ごしになることを。

△△より』


『匿名様へ、此度の不幸に対しては若干、痛ましく思います。
しかし、左腕の負傷で片腕しか使えない状態なのは不便でしょう。事の一端は私にも責任があるから、一つ、お願いを聞いてあげます。ただし、無理なものは事前にそう伝えるので、そのつもりで。

△△より』

「王子さまへ
一緒に図書館へ。読みたい本がございます。
▽▽より」


『どこに触れてたのか正直に伝えて(△△)』
『肩と手と、脚。』
『白状します。ふくらみに驚いていました(▽▽)』

『王子サマへ
やはりその左腕は世界の宝ですので、より柔軟な幅広いご活躍を祈ります!』
『▽▽へ
少し前から思っていたが、君は物事をよく見ている。だからこそ言葉を選んでくれたまえ。そして、これも分かっているだろうが誰彼構わず刃を振り回さないように』
『△△様へ
承知。しかし、あなた様が王子とはどう領分なんでしょうか?あなたは、△△様は立派な女の子であるのに。もしそうじゃないのならば、あなたを王子たらしめる誰かが、何かが、あなた以外がどうかしているのでは?……確証は持てないですが』
『▽▽へ
あの時、不意に重なっていた手は堅さがあるものでした。やはり私のとは違う性質のものでした。
その上で、手を取るに足る人物になるように歩んでください』
『△△様へ
その言葉を受け取ります。そして、同じ言葉をお返しいたします』


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