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消費購買プロセスって変わった?

こんにちは。

マーケティング視点で読解力を高めるノートでは、小さくてもファンを増やす仕組みと仕掛けがわかると題し、デジタルネイティブ時代の情報発信を主たるテーマとし、中小企業や個人事業主がオンラインチャネルを活用する際の前提となる、情報接触態様の変化を読み解き、IDやSNS、そして口コミを科学して理解するノートをお届けしてまいります。

第1章 デジタルネイティブ時代の情報接触
第2章 知らぬままに置いてけぼりになるリスク
(1)消費購買プロセスって変わった?

第3章 生活者理解のために必要ないくつかのこと
第4書 口コミが生まれる、広がる、その理由を科学
第5章 ファンを作るために必要なことはひとつだけ
第6章 オリジナリティとどこにもないストーリー
第7章 ファンを増やす、共感を得る仕組みと仕掛け


1.あちこちで発生するギャップ(GAP)


デジタルネイティブ時代の情報発信note、第2章では「知らぬままに置いてけぼりになるリスク」と称し、世の中の変化、特に情報接触態様の移り変わりを理解する必要性について、考えてまいりたいと思います。

まず、普段のお仕事でご一緒することが多いメーカーのマーケターの方や、流通小売業の皆さん、また、流通小売の先にいらっしゃるお客様について聞かせて頂く様々なエピソードや、漏れ聞こえてくる声を、簡単にまとめましたので、以下の図表をご覧ください。

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例えば、メーカーのマーケターは、市場調査を重ね、ユーザーインタビューを行い、生活者の方が抱えているニーズを読み解き、新たなポジションを確保できそうなホワイトスペースを見出した上で、研究開発から生まれた技術を投入し、これは間違いない、という自信作を市場投入するわけですが、その結果を見ると、図表にあるような、「思った通りの初動ではなかった」、というケースが往々にして発生します。

また、食品スーパーのお総菜コーナーを思い浮かべてみると、平日の19時頃、お総菜コーナーの商品は、疎らになっており、値下げしている商品が、ちょこっとだけ残っているという売場を見かけます。

私としては、あたたかい、出来立てのお総菜があれば、そこでいくつか商品を購入したはずなのですが、「50円引きとは言え、できてから時間の経った冷たいお総菜は食べたくないな」と考えて、手に取りません。

こういった、「作っておけば、もう少し売れたのかも?」という機会損失(チャンスロス)や、反対に作りすぎてしまい、廃棄をせざるを得ない、という残念な事象は、今日も日本全国の売り場で起きています。

このように、「予想と異なる」、「思った通りの結果が得られない」
「欲しいと思った商品がなかった」という事例が起きる原因は、どこに求められるのでしょうか?

お総菜の事例では、お総菜コーナーで用意する数量を考える主任さんが予想する「来店時間」、「提供する商品やメニューの幅」、「時間あたりの販売点数」と、お総菜を購入したいと思う消費者の間にズレがあり、結果として機会ロスや廃棄ロスといった「GAP」が生じています。

お総菜や商品を提供する側と消費購買する生活者との間で「GAP」が発生する原因を、私は、メーカーや流通小売のご担当が、デジタルネイティブ世代を中心とした消費者の「情報接触態様の変化」を捉え切れていないからだと考えています。

例えば、食品SMをご利用される方の、新聞の購読世帯数の増減は、折込チラシをご覧になる方の数に直結いたしますし、食品SMがスマホのアプリを提供しているのであれば、情報の届け方や、届ける情報の中身自体、情報を届ける時間帯も変わってくると思います。

メーカーや流通小売、そして流通小売を利用される生活者の周囲で起きている「GAP」は、時代とともに移り変わっていく、生活者が情報に触れる手段や取得する方法の変化を、捕まえ切れていない、あるいはその変化自体を知らず、世の中の変化から「置いてけぼり」になりつつあるからではないでしょうか。

2.マスを対象とした時代の購買モデル

伝えたいことがあるのに、なかなか伝わらない、伝播していかない、という課題感を考えるにあたり、昭和、平成、そして令和に至るまでの過程で、大きく変わったと考えられる「購買意思決定プロセス」を取り上げてみたいと思います。

ここでは、「情報取得スタイル」や「主として選択するメディア」を考慮し、時代を3つに分けて考えてみます、

1つ目は、1995年以前の、主たる情報取得、接触メディアが、TV、新聞、ラジオ、雑誌といったマスメディアが中心だった頃の購買意思決定プロセスである「AIDMA」の時代

2つ目は、1995年以降、インターネットが普及していき、特に、1999年NTTドコモ「iモード」の誕生を契機に利用が一般化していく、インターネットの検索や掲示板の利用等、ネットからの情報取得が増えていく頃の購買意思決定プロセスである「AISAS」の時代

3つ目は、デジタルネイティブ世代を中心とし、主たる情報検索手段がSNSにシフトし、情報を手繰り寄せる時代に入った、2010年代の後半以降の、情報が伝播する構造を前提とした、新たな購買意思決定プロセスが生まれた時代

それでは、1つ目の「AIDMAモデル」から見ていきたいと思います。AIDMAは購買意思の決定プロセスを「注意」、「興味」、「欲求」、「記憶」、「行動」の5段階に切り分けて考えるモデルです。特徴を簡単にまとめましたので、以下の図表をご覧ください。

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AIDMAは、この後でご紹介する「AISAS」や、その他派生のモデル(基本形や派生形を含めて、教科書的には、すごく沢山あります)の基本形にあたりますが。私が着目したのは、「A」~「M」の過程でどのように商品を認知してもらい、気にしてもらい、欲しいかもと思わせ、頭の中の記憶に留めてもらうか、という過程です。

第1章では、デジタルネイティブ時代のメディア接触の変化を取り上げ、世代別にメディアへの接触時間が大きく異なっている様をご紹介致しました。

50代、60代のように、平日に平均で4時間以上テレビに触れる世代を対象とした商品であれば、TVを中心としたマス媒体を用いた情報提供によって、商品を認知してもらえるかもしれませんが、例えば、新聞の折り込みチラシを用いて情報を届けようとしても、新聞を読まない、あるいは購読をしていない世帯に住むお客様であれば、いくら情報を届けようにも、届けられない状況です。

AIDMAモデルを使って考えると、従来用いられてきたTV、新聞、ラジオ、雑誌、そして新聞の折り込みチラシを用いて、大量のシャワーのように情報を発信し、商品の存在を伝え、関心を持ってもらおうとしたところで、デジタルネイティブ世代は、従来型チャネルを使う時間が少ないか、メディアとの接触がほぼ皆無であるため、結果として、前項でご紹介した「GAP」が発生する構造が生まれやすい、という実態が垣間見えてきます。

3.インターネットで検索する時代の購買モデル


2つ目に、インターネットを日常活用するようになった時代の購買行動のプロセス「AISASモデル」を見ていきたいと思います。AISASは購買意思の決定プロセスを「注意」、「興味」、「検索」、「行動」、「共有」の5段階に切り分けて考えるモデルです。特徴を簡単にまとめましたので、以下の図表をご覧ください。

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AISASとAIDMAと比較すると、AISASでは、インターネットが一般化した時代の購買行動の特徴である、「検索」というステップをモデルの中に取り込んでいる点、購入した後、商品に関する情報を「共有」するというアクションが取り込まれていることがわかります。

AISAS時代の特徴として、1つ目に情報収集のタイミングで、自社の情報が検索結果の上位に表示されるよう、検索エンジンでSEOの対策を行うことや、WEBサイトを用意して、詳細の情報提供を行う必要が生まれたことが挙げられます。

2つ目の特徴は、情報を発信する主体が、法人(メーカーや流通小売)のみならず、インターネットを通じ、個人が情報を編集し、気軽に発信できるようになったことで、情報の発信と受け取る経路が、縦方向で単純な構造から、横の経路が生まれ、AIDMA時代よりも複雑になった、というものです。

マスメディアを通じて、商品名やブランド名を訴求し、認知して、関心を持ってもらったとしても、その先で、商品の情報を取得し、比較選択してもらうための、詳細情報(例えばWEBサイト)を整備しておかない限り、購買を意思決定するための十分な情報を届けられず、いくら良い商品だったとしても、購買検討時のスタートラインに立てない、ということがわかります。

また、生活者が検索する情報は、法人(メーカーや流通小売)が発信する情報に限定されず、実際に商品を購入した個人が発信する情報、例えば、口コミサイト、掲示板に掛かれたレビューといった法人がコンロトールしづらい情報を含むようになりました。

むしろ、個人が発信する口コミの方が、嘘偽りが少ない情報であり、信ぴょう性という意味で価値が高く、購買を後押しする有益な情報として重宝されるようになったのも、AISAS時代に起きた大きな変化でした。

AIDMA時代は、片方向の情報発信だったものが、AISAS時代では、情報の伝播経路が双方向でインタラクティブになり、得られる情報の量や質が従来とは比べ物にならないほど充実したことが、第1項でご紹介した「GAP」が生じやすい時代の背景にあると考えています。

4.デジタルネイティブ世代の購買プロセス


最後にに、情報検索手段としてSNSの「#」ハッシュタグを利用し、情報を手繰り寄せるようになったデジタルネイティブ世代の購買行動のプロセスである「ASIPSモデル」を見ていきたいと思います。

ASIPSは、SNSを主たる情報検索で用いる場合の購買意思の決定プロセスを「注意」、「共感」、「確認」、「参加」、「共有と拡散」の5段階に切り分けて考えるモデルです。ASIPSの特徴を簡単にまとめましたので、以下の図表をご覧ください。

※ASIPSは、デジタルネイティブ世代の情報接触態様の特徴に基づき、AIDMAやAISASとの相違点を読み解くため、私が整理したもので、一般的なマーケティングの教科書に掲載されている内容ではありませんので、その点、ご承知おきください。

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ASIPSとAISASとを比較すると、ASIPSでは、「共感」、「確認」、「参加」という行動が盛り込まれている点が特徴的です。

SNSを情報検索、情報取得に用いるデジタルネイティブ世代が、最初に情報に触れるタイミングは、SNS(TwitterやFacebook、Instgram)のタイムラインで、フォローをしている有名人や、信用できる友達が投稿した情報であることが多いと思います。

ソーシャルネットワークのタイムラインに流れてきた情報を知り、「良い(いいね)」というポジティブな感覚である「共感」が生まれ、具体的な商品やサービスを調べ、次のタイミングでは、その商品やサービスを中心としたコミュニティやグループへ新たに参加(あるいは「#」で情報を追いかける)して、実際に購入した商品やサービスについては、自らが新たな情報発信者として、「共有」や「拡散(シェア)」する、というのがASIPSの基本的なモデルになります。

デジタルネイティブ世代の情報伝播の構造として、「バズる」という表現がありますが、ASIPSは「バズる」を解説することもできます。

自分のタイムラインに流れてきた情報に対し、「これは、楽しそう」という「感情」をもち、共感できた情報の詳細にアクセスし、さらに、その楽しい気持ちは、自分の周りの人へ主体的に「お裾分け」してあげたいので「#を付けて共有する」という構造が、「バズる」の構造です。

AISAS時代は、口コミサイトや掲示板といった特定の場所に口コミや個人が発信する情報が集積されていきましたが、デジタルネイティブ世代が用いるSNSでは、一人の個人を起点に複数人のフォロワーがおり、発信された情報を受け取ったフォロワーが共感し、さらに自身のフォロワーへ共有、拡散していく連鎖があるため、幾何級数的に情報量が膨らんでいく、という特徴があります。

AISASモデルになり、インタラクティブになった情報経路は、ASIPS時代には、ネットワーク(連鎖)となり、個人が発信した情報が、ソーシャルネットワークを通じて共有、拡散していくようになりました。本節でご紹介したとおり、購買の意思決定プロセス自体が、情報伝播の構造とともに、大きく変化したことが、第1項でご紹介した「GAP」が生まれる、最も大きな要因だと、理解することができそうです。

第2章(1)消費購買プロセスって変わった?、では、メーカーや流通小売、
そして流通小売を利用される生活者の周囲で起きている「GAP」の発生原因について考えてみました。

次回は、第2章(2)お客様の顔が見えない・・として、商品やブランドのファンやユーザーがわからない、理解できない理由を取り上げ、商品が生まれて、消費者の手元に届くまでの流通経路とその特性から読み解いてみたいと思います。

宜しければ、-デジタルネイティブ時代の情報発信note-
SNSが検索手段になる理由、もご覧ください。

 ここまで、ご一読いただきありがとうございます。マーケティング視点で読解力を高めるノートでまとめた電子書籍のコンテンツも、ご覧いただけたら、幸いです。

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