見出し画像

10本の短編小説を元にした写真展が楽しすぎた

ただいま渋谷のギャラリールデコで開催されております写真展がありまして。《ココロテン》って言うんですけど。

この写真展は俳優でモデルの竹内心さんを被写体にしているんですが、10人のカメラマンがそれぞれの短編小説を元にそれぞれのイメージで写真を撮った写真展になってるんです。

これが本当にカメラマンさんの味が出ていて。
僕は作家として3作書かせていただいていたのですが、その3作品とも全く違う切り取り方をしていただいてるですよ。

写真に対して全く造詣が深くない僕なのですが、まず色合いがカメラマンさんによって全然違います。パッキリとした色合いもあれば、ダークな色合い、荒い色合い、光が鮮やかな色合いなどがあり、それだけでもう楽しんじゃう。

さらに作品の世界観をそのまま投影してくださるカメラマンさんもいるし、作品から膨らんだイメージを描いてくださるカメラマンさんもいます。一度再構築して新たな世界観を生み出してくださるカメラマンさんもいます。
文字の世界が心さんを通して実現した!という喜びもあり、自分のイメージではたどり着けなかった世界を描いてくれてる!という驚きもあり、この物語からこんな世界が生まれるなんて!という新たな創造物を見る楽しさもありました。

そして何より心さんが一枚一枚全て違う表現で表情で10いや100の心さんを見た気がしました。当然のことっちゃ当然のことなんですが、人の表現表情は同じじゃないんだなぁなんて思ったりしました。


《深呼吸》《夢》《また会おう》という3作を書かせていただいてますのでもし良かったら。
《深呼吸》は物語調。主人公の男の子の中学時代の電車から見た思い出を書いています。この展示がまた面白いんです。これはぜひギャラリーで直接見てもらいたい。《夢》は日常的に感じていて打ちひしがれるたびに奮い立たせる言葉を書きました。詩に近いかもしれません。この展示でまた背中を押されました。《また会おう》は物語の魅力、物語の無限の可能性を提示した作品です。個人的に一番好きな作品です。展示も可愛らしく発見する喜びもあり、とてもワクワクしました。

とまあここまでは少し珍しいくらいの人物の写真展なのかも知れません。あるよ、あるある、そういう写真展。君が知らないだけだよ。みたいな感じかもしれません。


しかしこの写真展。
QRコードを読み込むと、心さんの朗読が聴けるんですよ。短編小説の朗読が。
写真を見て、短編小説を読むだけでなく、朗読を聴きながら写真を見て、またイメージが広がる。
文字による情報と写真による情報、さらに声による情報が加わり、写真展なのに映画を見ているような気持ちになりました。
それが10種類も楽しめるんです。
控えめに言って最高です。


さらに毎日ではないのですが、心さんの一人芝居がありまして、これの脚本演出をやらせてもらっておりまして。
《語りかける感情の追憶》という作品です。

心さんに対して以前演出していた際、心の中は言葉や感情で満ち満ちてるのに、表面上はとても飄々としているように見えていて、不思議な人だなあと思っていたのです。
感情を飼い慣らしてるとも言えるし、感情に疎いようにも感じる。よし、心さんと感情の距離感について少し作品にしてみよう、と思い書かせていただいた作品です。
少し難解な作品なのですが、心さんの中の喜びや悲しみ、怒りとの距離感が垣間見えたらいいなと思っています。
"感情は過去から繋がっていて、いつでもそばにいて君に語りかける。君は何がしたい?何を感じてる?"と。

10作の作品と+1作の作品として心さんの写真展《ココロテン》を心ゆくまでお楽しみ下さい。

4/18-23 ギャラリールデコ6F にて
11:30-20:00(最終日17時まで)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?