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締約国会議1日目ルポ(11月27日)

こんにちは!核兵器禁止条約の締約国会議がいよいよ始まりました。
当日、議場でどんなことが議論されたのか、どこよりも早く日本語訳で皆さんにお届けします。

科学諮問委員会から核兵器の非人道性に関する言及がなされました。
主な議題は「核兵器の環境への影響」と「核の脅威の増大」のふたつのポイントに分けられます。

科学諮問委員会から提出されたワーキングペーパー
https://documents-dds-ny.un.org/doc/UNDOC/GEN/N23/324/29/PDF/N2332429.pdf?OpenElement

一つ目のポイントとして、環境への影響について。
核兵器使用による環境への被害については、昨年の第1回締約国会議の時点でも以前から言及されてきましたが今回の会議でも今一度、その甚大な影響を認識する必要があると述べられました。加えて、核兵器の使用によって生じる「環境汚染」と「気候変動」の影響が重なった場合の世界への影響は非常に複雑であり、これに関する研究が必要であることも指摘がありました。
二つ目のポイントは、核の脅威が増大する昨今の情勢について。
この場では特に、北東アジアとロシアの核の脅しが増大している例が挙げられ、そうした国々からの防衛のために核兵器の軍備増強に向かう国々が現れている現状が、軍縮の難しさに拍車をかけている原因の一つであるとのことです。

科学諮問委員会からは、各国にこれら二つの視点に関しての研究を委任を求める旨が述べられました。

続いて、4名のパネリストによるプレゼンテーション。

プリンストン大学のセバスチャン・フィリップさんは、1945年のトリニティ核実験が北米地域へ与えた影響が今年ようやく明らかになったことを紹介しました。しかし一方で、まだ各地への核兵器使用や実験の影響が解明されていない部分もあるとして、全ての地域での核兵器の影響の監視・核実験に関するデータの公開・環境汚染の修復に関する研究を進めるよう促しました。
次にヨーク大学のニック・リッチーさんは、核兵器が及ぼす甚大で複雑な被害についての過去の実例に関する研究を紹介しつつ、私たちが今までいかに「運よく核兵器の使用を逃れてきたか」ということを強調しました。


そして安全保障に関するシンクタンク「Nuclear Threat initiative」研究員のパトリシア・ジェヲリックさんは、政治の面で科学的な研究結果が重要視されてこなかったことについて指摘。核兵器の使用による気候変動の現象のひとつ「核の冬」についての研究が(米国防衛省が意図的に無視した事によって)政策決定に繋がっていないことを問題視しました。


最後に、日本被爆者団体協議会(被団協)の木戸季市さんが自身の被爆体験に基づいて核兵器の非人道性について訴えました。そして、市民社会の反核の意向に反して日本政府が核兵器禁止条約に不参加である理由として、武力で国を守る考え方があること、それらを解決するのは対話であることを協調し、対話には五感を使った交流も含まれることも話しました。

その後の質疑応答の時間では、メキシコ・南アフリカ・カザフスタン・ニュージーランド・そして原水爆禁止日本国民会議(原水禁)から、各パネリストへ質問が寄せられました。

  • 核の冬の科学的な根拠の不足について指摘があったが、人道性の観点において情報の信頼性の欠如は考えられますか?

  • 研究強化についての新しい研究方法とはどんなものが想定されていますか?


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