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国立大学の学費値上げラッシュがはじまる!?

このnoteは、2023年10月15日の Voicy「【教育の明日をよむ】knockout の10分キャッチアップ」の配信内容をもとに作成したものです


今回は、2023年10月13日、東京の国立大学、東京農工大学が発表した学費の値上げについて考えてみたいと思います。

早速、東工農工大学が発表した授業料改定の内容を見ていきましょう。
ここではかいつまんでお話をしますので、もし細かい内容を確認されたい場合は、 以下のURLをご確認ください。


まず、授業料改定の時期は、2024年(令和6年)の4月から開始となっています。つまり、半年後にはもう始まってしまうということで、かなり急な話であることがわかります。

続いて、授業料の改定額ですが、今現在は、年間53万5800円です。これは、国立大学の標準額として決められている額なのですが、改訂後、これがいくらになるかというと、年間64万2960円

標準額よりも20パーセントアップということになります。金額に直すと年間10万7160円増えるということになります。

今年度の東京都の最低賃金は1113円ですので、もし学生がアルバイトでこの値上げ分を賄おうとすると、96時間とちょっと。だいたい100時間ぐらいは年間でアルバイトを増やさなければならないということになります。

そして、上記の金額は年額です。学部課程4年間でどれぐらいの金額になるかというと、42万8640円となります。

つまり、今までの年間の学費に近いぐらいの余分な教育費用がかかるということになります。非常に大きな値上げであると言えるでしょう。


止まっていた値上げの動き

ここで、国立大学の授業料の決め方を確認します。

国立大学の授業料というのは、省令で決められています。
標準額は53万5800円なのですが、実はそれぞれの国立大学に裁量が認められおり、20パーセントまではそれよりも高い金額を設定することができるようになっています。

実際に、東京農工大学以外にもすでに値上げをはじめているところがあります。東京工業大学、 東京芸術大学、千葉大、一橋大、東京医科歯科大学です。この5大学はすでに値上げを行っており、いずれの大学も、20パーセント上限いっぱいまで授業料をアップしている状況です。

これをご覧になった方は、「なんだ、首都圏の話じゃないか」「え、俺たちには関係ないよ、私たちには関係ないよ」と思われるかもしれません。

しかし、この動き、今後、全国に広がっていくのではないかと個人的には考えています。

というのも、先に授業料値上げをした5大学、こちらはすべて2018年から2020年までに値上げが発表され実施されてきましたが、そこから先、値上げを発表する大学は現れなかったんですね。

何が理由だったかというと、理由はおそらく「コロナ禍」です。コロナによって国民の生活が傷んでいるなかで、国民の希望の光である国立大学の授業料を上げるなんてとんでもない。そういった批判の声が高まるのを危惧したのではないでしょうか。しばらくは、国立大学の値上げの動きは止まっていました。

ただ、この間、どういうことが起こったかというと、ウクライナ危機等をきっかけとした燃料高が起こりました。

いろんなモノの値段が上がるなかで、当然大学の財政も逼迫しています。細かい話では、廊下の蛍光灯を1本おきにつけていきましょうとか、涙ぐましい努力が行われているのです。

それだけではなく、学生の学びの環境に直接的な悪影響も及ぼしつつあります。

例えば、大阪大学や一橋大学では図書館の開館時間を短縮するような動きが出ています。東京芸大では、ピアノを維持するのが難しくなったから売りますというようなニュースもありました。


値上げは首都圏だけのこと?

こうした燃料高の影響というのは、当然、東京にある国立大学だけに起こっているわけではありません。

首都圏だけでもなく、この動きはもしかしたら地方にある小さな国立大学などにも波及していくのではないか、そしてその可能性は非常に大きいのではないかと思っています。

それぞれの大学や民間団体、日本学生支援機構といった機関には、 いろんな奨学金の制度があります。それを使って、値上げ分を補填していくことは可能です。ただ、非常に多種多様な奨学金制度があるが故に、探すのも大変ですし、それを申請するのも、とても手間がかかることです。

もし親御さんが協力的で、いろいろと手伝ってくれるご家庭であれば、問題はないとは思いますが、そのような支援が得られない高校生・大学生の場合、自分でそれをやらなければならないということになります。それは大変な手間と時間がかかり、学業の妨げにもなるでしょう。

繰り返しになりますが、国立大学というのは、国民の希望の光です。このような値上げの動きというのは、由々しき事態であると強く感じます。

同じ日にあった対照的な発表

余談になりますが、実は、この東京農工大の授業料値上げのニュースが出た同じ日、東京都の会見がありました。

そこで、小池百合子東京都知事が東京の公立大学である東京都立大学の新しい授業料減免制度を発表しました。世帯年収がおよそ910万円以下の世帯のお子さんに関しては、 授業料を全額免除しますと発表をしたのです。

東京農工大学と東京都立大学は、いずれも東京の西側にある大学です。位置が近いところにある2つの国公立大学が対照的な発表をする日になってしまいました。東京農工大学にとってはとてもアンラッキーだったと思います。

そしてこれは、今年度受験をする受験生にとっては、もしかしたらその志願動向にいろいろな影響を与えるかもしれません。該当されるご家庭、該当される高校生の方は気をつけてほしいと思います。


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