『Pokémon LEGENDS アルセウス』あゝ、自由
■作品概要:調査収集に特化したポケモン
■公式サイト:https://www.pokemon.co.jp/ex/legends_arceus/ja/
■クリア時間:30時間くらい
始めに遊んだポケモンがダイヤモンド・パールであったこともあり、一昨年のポケモンプレゼンツをみて喜んだ内の一人だったのですが。BW以来ポケモンは遊んでおらず、長い間ご無沙汰だったのでなんとなく手を出せずにいました。
しかし、遥か昔のポケモン世界という時代設定と”人とポケモンは共に生きる道をまだ知らない”という文言につれ、『Pokémon LEGENDS アルセウス』を購入しました。
そんなわけで、備忘録がてら本作をプレイした感想を残しておこうと思います。
『Pokémon LEGENDS アルセウス』とは
複数のひらけた世界
今作は(歴史ある作品とは思えぬほどに)多くの挑戦をしていますが、その中でも際立ったものがいくつかあります。
その一つが『ステージ制』オープンワールド。真・女神転生Ⅴ等でも採用された、複数のオープンワールドを行き来する構成になっています。
完全なオープンワールドでなく段階的にエリアが解放されることで、迷いにくくしているのと同時に(にくくし?)、黒曜の原野は野原、群青の海岸は海と環境特性ごとにエリアが区切られていくことで、どこにどのポケモンがいるのか予想しやすくなっています。
簡単に言うと分かりやすい。
この分かりやすさはフィールドのデザインにも徹底されていて、多くのオブジェクトに機能が直結しています。
木や岩などはポケモン・アイテムが出てくるもの、草むらはポケモンに隠れる為に、ひび割れた岩などは壊して道にすることができるものになります。
フィールドにある様々なものが『邪魔なもの』ではなく『~できるもの』として機能と直結したデザインは、フィールドがただの道でないことを実感させてくれます。
特に、海や崖はストーリー進行で超えられるようになる障害として設計されているのが楽しく、どんどん移動範囲が広がっていくのはとても楽しい体験でした。
切り落としたことで浮き上がる
プレイヤーの出来る行動の殆どは、『投げる』といった行動に全てをつぎ込まれています。
拾う・話すといった特殊な行動を除き、しゃがみや移動手段の多くは投げる為の前準備という一面を持ち合わせてすらいます。
この『投げる』アクション最大の魅力は、今までのポケモンにあった「~がくさむらから飛び出してきた」というイベントを排除しきったことにあるでしょう。
というのも、今までのポケモンは何かにつけてエンカウントを挟まざるを得ない状況でした。
レベルを上げる為にも、ポケモンを捕まえる為にも、なつき度・努力値を蓄積するにも。草むらに飛び込む必要があり、場合によってはその相手を選ぶ必要がありました。
「目と目があったらポケモンバトル!」というのもエンカウントと数えれば、金策やストーリー進行にも必須だったことになります。
別にエンカウント自体が悪い訳ではありませんが、それに掌握されている状態は問題です。
事実ポケモンの『捕獲』は、ポケモン最大の魅力といえるはずなのに、戦闘やストーリーの添え物に甘んじていました。
手持ちに入れられる6匹以上のポケモン捕獲は、撃破の方がうま味が多いやり込み要素でしかなかったのです。
それが、『投げる』というアクションの導入によって、探索や移動から直接、戦闘という間を挟むことなく捕獲に行えるようになったことで捕獲の価値を独立して上げることに成功しています。
そして、ポケモンの『捕獲』を中心にゲームシステムやストーリーが展開しています。
ストーリー進行に必須だったジムリーダーを倒すという工程が、ポケモンの捕獲数等で変動する団員ランクに変化し、アイテムの多くが戦闘より捕獲に有利なものになっています。
知らない者を知るということ
Pokémon LEGENDS アルセウスでは、従来のポケモンにあった『悪の組織』がいません。
お邪魔キャラがいない訳ではいませんが、敵対する相手は殆どおらず。明確な二項対立、勧善懲悪のストーリーではなくなっています。
敢えて言うならポケモンが今作の敵役であり、その原因は主に知らないことにありました。
強くて怖くて分からない相手としてポケモンが出てくる。そんなポケモンを調査して図鑑を作成するのが目的である辺り、本作の軸に他者理解があるように思います。
ヒメグマを守るように走り回るリングマ、木に糸を絡みつけて寝るケムッソ、常に同じ方角を向くノズパス、そしてオヤブン個体。
フィールドでの探索がそのまま、ポケモンを理解することにつながっています。
そして、この不理解はポケモンだけではありません。
本作の舞台であるヒスイ地方では、ポケモンはいまだ未知の存在でした。
畏怖される存在として扱われるポケモンを解明する為に乗り出したギンガ団も現地の存在から見ればよそ者で、そこに入り込んだ主人公もまた異物でした。
現地民であるコンゴウ団やシンジュ団も信仰上の違いからか、お互い不可分を貫いています。
そういった意味でもお互いがお互いを理解しておらず、ストーリーが進展することで他者理解を深めています。
ポケモンに対する理解がゲームシステムで十分表現できている分、ストーリーでは他人とポケモン、人と人の関わりを綿密に描いています。
気になった点
ジャキジャキ
基本、本作のグラフィックは美しいのですが、洞窟などにいるとキャラの輪郭に白いジャキジャキが見えるようになります。
それだけではあるのですが、少し目立つので気になる部分として記録しておきます。
最後に
ポケモンって楽しいんだなぁ、としみじみと感じました。
ボール投げてるだけで楽しくて、ストーリーも芯を食ったいい話でした。
個人的に好きだったのはクリア後のウォロ戦ですね。あの演出は無茶苦茶痺れました。
3Dのゲームになってカメラワークもしっかりして、BGMとのシンクロも良くって一々演出に感動してしまいました。
ここまで楽しいとSVもやりたくなってきました。やろうかな。
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