一日一鼓【11月】
一日一鼓【11月まとめ】
『交差点の先に待つ物語』
大人になると言うことは
人の痛みに寄り添う術を身につけるということなのかもしれない。
ならば僕は、まだ大人になれていない。
0時を周ったバス停。
たった今、誕生日を迎えた。
Happy birthday クールな青年くん
そう言って、花苗を渡してきた。
何が咲くかはお楽しみだそうだ。いつものことだった。
彼女が祝ってくれるのは、これで9回目となった。
もう青年なんて歳ではない。
恋人でも友人でもない、ご近所さん…も、少し違う。
彼女は言わば、僕の先生だった。
寂しいっていう、立派で厄介な感情を僕に気付かせた
鈍感で真っ直ぐで一途な先生だった。
あの日、あの瞬間、花を渡して彼女は言った。
「寂しさは薄れた?」と。
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