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大人(?)の反抗期

先に断っておくと、私は大好きな元カレに振られて数ヶ月経ってから【何でこうなっちゃったんだろうね】という怪LINEを真夜中に送ってしまう程度にはメンヘラだ。

メンヘラは悲劇のヒロインになることが大好き。傷付いた可哀想なアタシが大好き。私も例に漏れず、だ。

むしゃくしゃすると煙草を吸うようになった。仕事でストレスが増え始めた頃、飲み会のとき限定で喫煙者から1本だけ乞食して吸っていた。それがある時、酔っ払ってえいやとコンビニで10本入りの煙草を購入した。
煙草なんて正直、煙いし、臭いはつくし、苦いし、むせるし最悪だ。それでもモヤモヤした気持ちを煙と一緒に肺から吐き出し続けた。

どうして不味い煙草をわざわざ吸い続けているのか。自分でもなかなか理解できない行動だったが、最近読み進めている「アズミ・ハルコは行方不明」の中に答えが書かれていた。

ハルコは仕事のストレスが爆発しそうになった時、泣きつきたい人に泣きつけないことにフラストレーションを感じていた。成り行きでセックスした恋人もどきとは連絡がつかない。同窓会で再会した闊達な同級生は連絡先すら知らない。そんな状況で彼女は煙草を買いに行く。

春子はある日、煙草を買いにコンビニへ行った。煙草なんて吸ったことはなかったけれど、なんだか無性にそういものを–小さな毒を–摂取してやりたくなったのだった。


思い当たる節があった。私の喫煙行為は小さな自傷行為なのだと気付かされた。
多分、私は身体に思いっきり悪いことをして、やさぐれた気持ちに酔いしれたいのだろう。恐らくそれが答えだった。未成年なのに煙草吸っちゃう俺、ワルだろ?と陶酔している不良少年と似たもの同士だ。そう思うと、いまさら反抗期がノコノコやってきた感じがする。

私にとっての煙草は、自分を悲劇のヒロインに飾り立てるためのツールにすぎない。嗜好品なんかじゃない。だってあの日コンビニで不慣れな様子で煙草を買ってから、ゆうに1ヶ月以上は経ったが、たった10本入りの煙草の箱は未だ空にならないのだから。


※昨年の今頃に書いたエッセイの再録です。

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