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「シン・仮面ライダー」感想

ずーっっっっっっっっと気になっていたので見てきました。

生誕50周年企画作品として企画されたこの作品、確かに面白かった。
ただ、見る人によってかーーーーーーーーーーーーーなり評価が分かれますよ。これ。

「庵野監督スゲえええええええええええええ‼」ってなる人もいれば。

「は? 庵野監督ふざけんなよ?」ってなる人もいると思います。

まあ私の場合は圧倒的前者なんです。
最大の理由としては、私個人エヴァ(新劇)の方を見てきたから、庵野監督の得意不得意を分かっているためです。

※ネタバレ注意

※ネタバレ注意

※ネタバレ注意

・良かったところ

・「怪人」

今作品の最大の論点は何かと言うと、「怪人」。

まさかそこに庵野監督は目を付けるなんて……。想定してなかった。
私が思っていた「シン・仮面ライダー」って、「正義とは何たるや?」とか「日本社会の風刺」が最大の論点かと思っていたんです。

だけど、彼は違った。

彼は「怪人」という登場人物で最大の論点を作り上げたんです。

例えば、西野七瀬演じるハチオーグ。

彼女は人間社会を利用して世界を支配しようとしていました。
→これが目的ね。

世間的にはそこが注目されるんだけど、庵野監督は違う。
彼は彼女自身のブラッシュアップを行った。

序盤の浜辺美波演じる緑川ルリ子も言っていましたが、「ショッカーは人々の幸せを絶望に変える組織」だと。
そして人々の幸せを絶望に変え、世界を支配する。

それをいち早く、そして現実的に叶えようとしたのがハチオーグ。

彼女は人間社会を使って世界を絶望に陥れ、世界を支配しようとしていましたよね?

そうです。そこです。

人間社会って言うのは集団社会。誰かが補えてこそ、社会が成立するもの。
これってある意味風刺に近いですよね?
集団社会は確かに誰かが支え合っていかないとダメ。だけど、自分自身が行動しなければ誰かに狙われ、洗脳される。

ハチオーグはそこを狙ったんです。

ハチもまた人間と同じように集団社会を生きる生き物。誰かが支え合っていかないと連鎖的に死んでいくのがハチ社会。

ハチオーグのシーンがやたら力入っていたのはそういうことなんですよ。
人間社会への風刺が込められている。

庵野監督はこの作品を通じてこう主張したいんでしょう。

「自ら行動しろ」と。

自ら行動しない限り、誰かの足となり、誰かの人生の踏み台にされていく。

それって誰もが嫌じゃないですか?

でも人間ってそうなってしまうんです。誰かの足になってしまったり、誰かの人生の踏み台にされていってしまう。

じゃあ自ら行動しろ、と。

「怪人」を通して伝えたいんだと思います。


あと怪人で取り上げるとしたら「緑川家族」かな。

緑川弘に関してはあまり着色されなかったので触れませんが、その子ども達にブラッシュアップされました。

浜辺美波演じる緑川ルリ子はSHOCKERの人工子宮によって生み出された生体電算機、つまり怪人。
森山未來演じる緑川イチローはチョウオーグ、改め仮面ライダー第0号。つまり彼も怪人。

この2人は母親を亡くすという同じ絶望を共有していますけど、行動が違います。

緑川ルリ子は組織の目的に感づいて政府の手を利用して壊滅させようとする。
一方の緑川イチローは組織に残留しつつ、自らの手で世界を手にしようとする。

少し対比になっていませんか? これ。

緑川ルリ子は人々の「幸せ」を守るために組織を壊滅させようとする。
一方の緑川イチローは人々の「不幸せ」を叶えて世界を支配しようとする。

各々が己の目的を持って行動し、衝突。

つまりこれって兄妹喧嘩ってこと?

世界を巻き込む兄妹喧嘩……。スケールがでかい……。


・「仮面ライダー」は人間か?

この論点については忘れないでおきましょう。
そして、庵野監督が皆さんに問うた最大多数の最大の論点、そして答えの出ない永遠の問いです。

これに関してはぜっっっっっっっっっっっっっっっったい各々によって意見が分かれますし、衝突を招きやすい。

だって、作中でも描写されていましたけど……。

「仮面ライダー」はもとは改造人間。つまり怪人ってこと。

世間体の反応からすれば「怪人=人ではない」という結論が易々と出てきがちです。ですが、この作品を見れば恐らく悩むことでしょう。
だって、私だって悩んだんですから。

「怪人」だって人間だし、「仮面ライダー」も「怪人」でありながら人間だもん。
「怪人」を人間だと思えば、「仮面ライダー」も「人間」ということになるし、「怪人」を人ではないと思ってしまえば、「仮面ライダー」も人ではないということになる。

この結論って意外と出にくいもの。
我々が思う「仮面ライダー」は正義のヒーローとか言うけど、元々は改造人間、つまり「怪人」。そんな人が正義のヒーロー?

絶対世間の人は認めたくないでしょうよ。

だって「怪人」は人々を傷つける、人々を不幸にさせる存在としての概念がありますから。

認めたくないでしょうよ。

それなのにですよ?

なんで「仮面ライダー」は改造された人間、つまり「怪人」なのに正義のヒーローなんです?

都合が良すぎるでしょうよ!!!!!!!!!!!!!!!!

それを最大限に表していたのが政府。

彼らってあくまで組織を壊滅させるために本郷と緑川ルリ子を雇っているんです。んで、いずれ組織を壊滅させたら2人も消すことになる。

なんでかって?

だって「怪人」という認識があるから。

「改造された人間=怪人」という概念が政府にあるから。
改造された人間は人々を襲う、だから根本にある組織を壊滅させ、後に2人も消す。

よくある政府の目的ですよ。
自らの目的の為に手段は選ばない。目の前に組織から抜け出して懸命に戦ってきた相手でも、消さなければならない。

風刺ですねぇ……。


・気になるところ

・専門用語

専門用語がズラズラと、何の解説無しに出てくるところが庵野監督の悪いところです。

確かに響きが良いし、物語構成がガチッとなるんです。

だけど、世間の人から言われてみれば「?????」ってなる。(実際に私もそうでした)
序盤でズラズラと緑川ルリ子が組織について、専門用語を交えて話していくのは残念ながら良くはない。

私だったら本郷を使って分かりやすく説明するかなぁって気がします。


・まとめ

と言うわけで私の駄文を最後まで読んで頂きありがとうございました。
この映画ってかなり評価が分かれていましたけど、私からすれば確かに評価が分かれますよ。

だって庵野監督らしいところがやたら出ていましたから。

それではまた。


・追記(2023/3/28)

なんで追記があるかって?

この作品に対する求め方が異なる方々が沢山いたからです。はい。

「シン」シリーズって、私の感想からするにして

日本の現代社会に対する風刺したもの

だと捉えているんです。

だからあまり演出だの見せ方だの、そんなのはあんまり私にとって関係がない。

実際に言えば。

『シン・ゴジラ』は「もしも現代に巨大怪獣が現れたら?」という大きな論点を兼ね備えているし、
『シン・ウルトラマン』は「もしも現代に異星人が来たら?」という大きな論点があり、
今回の『シン・仮面ライダー』も「もしも現代に人々の幸せを絶望に変える組織がいたら?」と言う大きな論点がございますから

「『シン・仮面ライダー』はつまらん!」と言っている方々って「シン」シリーズが伝えたいメッセージを本当に理解していない方々なんです。

本当に分かっているの?

記憶が曖昧になってきているから、『シン・ゴジラ』や『シン・ウルトラマン』についてあまり触れないけど

『シン・仮面ライダー』は「もしも現代に人々の幸せを絶望に変える組織がいたら?」という大きな論点があって、そこから物語という風呂敷を広げていって、そこで「怪人とは人間なのか?」という実際に起こりえそうな論点を作り上げた作品であるのです。

勿論、言い分も分かる。

確かにバックボーンが足りていない部分もあったし、庵野監督特有の横文字を羅列していった台詞もあったからそこはどうしても否めない。

けど、そこじゃないのよ。論点って。

この作品で伝えたいことって「もしも現代に人々の幸せを不幸せに変える組織がいたら?」という軸でやっていっているし、「それじゃあ実際にいたらどうしますか? 現実に現れる怪人は人間と呼べますか?」って。

まあ、私が考える理由としてはこのぐらいかな。


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