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財務データと非財務データはセットで見る

こんにちは、ナレッジラボCEOの国見です。

売上やコストといった財務データは多くの会社で簡単に入手できる経営状態を把握できる有能なデータです。一方で、マーケティングやセールスなどの事業プロセスの状態を数値化した非財務データも、形はどうあれ社内には必ずあるデータです。

予算管理は一般的に財務データで行うことが多く、非財務データは事業部サイドが現状把握や目標管理に使っていますが、今回はこれら財務データ、非財務データをどのように活用するのが最適解なのかについて書いてみたいと思います。

財務データだけでは事業のプロセスが見えなくなる

財務データは売上や仕入、費用など会計のフレームワークからアウトプットさせる実績値であり、いわゆる事業活動の結果指標となるものです。

財務データは利益やキャッシュフローのベースとなる重要な情報ですが、結果指標であることから財務データだけをいくら眺めていても事業のプロセスが見えてきません。

・どの商品の販売数が伸びているのか?
・どの広告のCPAが高いのか?
・解約率はどの程度か?

これらはマーケティング、セールス、サポートなど、各事業部門のオペレーションを数値化したデータであり、私たちはこれらを非財務データと考えています。

財務データとセットで非財務データを追いかけることで、インプットである各事業部門でのオペレーションとアウトプットである財務データ(売上・コスト)を把握することができます。

攻めるターゲットを変更する、広告投下する媒体を検討する、短期的な売上確保の施策を打つ、といった短期的な経営判断をしたり、1〜3ヶ月先の売上や業績を予測するという場合に、事業プロセスであるオペレーションと財務データをセットで把握できることが非常に効果的になります。

予算管理の分析サイクルを早めることができる

財務データ=会計データと考えた場合、会計の一般的なサイクルは、売上にしても仕入・経費にしても月次締めで確定するデータであることから、財務データは基本的に月次サイクルのデータとなります。

したがって、財務データだけで予算管理をしようとした場合、予実分析などの分析サイクルは月に1回です。

予算管理が月に1回だと、基本的には振り返りのスパンが1ヶ月となるので、経営判断に活用するにはデータの陳腐化してしまっていて、予算管理の価値が大きく損なわれてしまいます。

そこで予算管理の実効性を高めようとした場合に分析サイクルを短くしていくことになりますが、そのためには財務データのみではなく非財務データの活用が必要となります。

非財務データは事業プロセスの日常オペレーションを数値化したものなので、手間さえかければ日次レベルで取れるデータです。この非財務データを使った分析を細かいサイクルで回しながら、月次で財務データの分析を行うことで解決できます。

例えば、ナレッジラボの場合、週次で

・リード獲得数
・商談数
・チャーン数

などの予実分析や月次予測などを行いながら、月次で損益予実を行うサイクルで予算管理プロセスを構築しており、この週次での予算管理サイクルをやりだしてから社内における数字の意識や予算達成の確度が高まったという成果が出ています。

非財務データだけ見ていると足元をすくわれる

最後は非財務データだけ見ていたら何が起こるかについて話をしてみたいと思います。

非財務データは事業部門が管理しているデータなので、事業部サイドでは追いかけやすい情報となっているため、財務部門や経営企画部門の管轄から外れて事業部門での目標管理には比較的使いやすく分析しやすいデータとなっています。

非財務データは事業プロセスをダイレクトに反映したデータなので、予算実績分析などの解像度も高く、事業へのフィードバックをしやすいのですが、財務データを見ずに非財務データだけ見ているだけでは問題も発生してしまいます。

まず、PLの観点からは、販売目標、マーケティング目標などの達成にフォーカスすることによってコストサイドを見過ごしてしまいがちになり、売上に対するコストが過大となって、損益目標がマイナスになってしまう、ということがよくあります。

さらに、売上とコストのバランスが大きく崩れるとキャッシュフローの観点から大きな問題になります。非財務データしか見ていないと販売やマーケティングの目標達成はできたもののキャッシュアウトが大きくなりすぎて、スタートアップ企業などの場合は資金がショートしてしまうというようなこともゼロではなくなってしまいます。

このように、事業継続を死守しながら事業の成長を実現するためには、財務データ、非財務データの両方をしっかり追いかけることが非常に重要なポイントとなります。


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