おじさん「○○パ」な時代に思う

ある日のこと、朝の情報番組を観ていたら、司会者の方が「皆さま『スペパ』ってご存じですかぁ?」と問いかけていました。私は全く知らなくて「『新しいペペロンチーノ』か『宇宙に関連するモノ』かなぁ?」くらいにしか想像できませんでした。もちろん私の予想なんて当たる訳もなく、正解は「スペース・パフォーマンス」の略で「空間対効果」のことだそうです。「コスパ」が「お金の効率化」で「タイパ」が「時間の効率化」、そして「スペパ」が「空間の効率化」ということでした。

私自身は「効率化」に否定的な人間ではありません。効率化することで時間やお金に余裕が出来ることは良いことだと思っています。しかし、昨今の「○○パ」については「少し息苦しい」と感じています。

今の若い人たちは本当に大変だと思います。決して怠けている訳ではなく、少なくとも私が知る範囲の若い人達は仕事に対して真面目で、私のようなオジサンに対しても丁寧に接してくれています。彼らを見ていると、ガムシャラ頑張りながらも、どこか適当だった「若い頃の自分」を思い出し、少し恥ずかしい気持ちになります。
膨大な情報量と変化のスピードが加速していく現代において、情報の取捨選択と必要な知識を素早く吸収するスキルは必要不可欠なのかもしれません。だからと言って、そこから逃げるように「溢れる情報を遮断する」ことは、時代の変化に取り残される恐怖を生み出してしまいます。SNSからは成功者達の本当か嘘かわからないような笑顔と煌びやかな日常が紹介され、今の自分とついつい比較してしまう日々・・・。
そんな毎日のなか、上がらない収入と将来に対する不安を抱えつつ「周りから取り残されたくない」「理想に追いつけない自分が悪いんだ」「もっと効率を上げなくては」「もっと頑張らなければ」というプレッシャーと闘いながら過ごしているのでは?・・・と勝手に心配になってしまいます。
余計なお世話だと思いつつ「みんな疲弊しないのかなぁ」「日々の生活に辛さを感じないのかなぁ」と心苦しくなるのです。

こんな世の中で生まれ育ってきた現代の若者達にとっては、今の状況は当たり前かも知れません。そして、私が考えるよりずっと賢くて、スマートな生き方が出来て、将来設計とそれに対する備えも考慮しながら上手に生きていると思いますし、私が思うよりずっと心身共にタフなんだと思いますが・・・。

もし、現状に対して「息苦しさ」「辛さ」「違和感」を感じているのなら、私は「今進んでいるレールから一旦外れる勇気も大切なのでは」と思います。そして、「自分にとって居心地の良い環境とは何か?」「自分にとってどんな生活や仕事、人間関係が心地よいのか?」「自分にとって大切な価値観は何なのか?」などを自分の心に問いかけ、自分自身を見つめ直して欲しいです。心身に無理をして、体調を悪くしたり、精神を病んでからでは遅いのですから・・・。

そんな偉そうなことを言いつつ、今の若者たちを心配する前に自分自身の心配をするほうが正解で、独身オジサンの老後設計のほうがずっとリアルな問題だったりします。そして、このような現代社会で一番生き抜くことが難しいのは、私自身であることも確信していて、「回り道しながら地雷を踏みまくってきた人生だったなぁ」と、賢さの欠片もなく、スマートな生き方も出来なかった人生を回想しています。

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