「自分の好き」を大切にする

地方の田舎町では、今でも「個人宅に出入りする業者さん」が存在します。サザエさんで例えるなら、酒屋の三河屋さんみたいな感じでしょうか。我が家にも両親の世代からお世話になっている業者さんがいるのですが、今回はそんな業者さんとの会話からのお話しになります。
とある会社の営業担当の方は、私と同世代の女性で、担当になって一年くらいになります。毎月1回は我が家に来られて、ちょっとした用事を済ませて、ついでに雑談をして帰っていきます。先日も来られて雑談をしたのですが、そのなかで少し気になったことがありました。会話の流れで「気分転換」とか「趣味」みたいな話しになったときの言葉でした。

「私は買い物と映画を観るくらいで自慢できる趣味なんてありません」

私はこの言葉にとても違和感を覚えました。

「『自慢できる趣味』って何だろう?」
「そもそも趣味って自慢するものなんだっけ?」

その方が言うには「自慢できる趣味」というのは「趣味と実益を兼ねたもの」で、例えば「手芸などのモノづくり」みたいなことらしいのです。その定義であれば、「運動系の趣味」は体力向上という実益があるから当てはまるし、外国語の習得や資格取得のための勉強も当てはまりそうです。

しかし私は思うのです、「趣味」って「楽しい」とか「笑顔になれる」、「自分をご機嫌にしてくれる」が何よりも大切・・・というか、それが全てじゃないかなって・・・。
まして、誰かに自慢するようなことじゃないし、自慢されることでもないですよね。

その話しをされていた方は、顧客に対して謙遜の意味でそんな発言をされた可能性もあるのですが、私は少し寂しい気持ちになりました。「自分が好きなこと」を「自慢できるものじゃない」なんて言うこと自体が・・・。昔の男性が自分の奥さんを他人に紹介するときに「愚妻」と表現するような感じに思えてしまい、「『自分の好き』をもっと大切にして欲しいなぁ」って気持ちになったのです。

最近思うのですが、「役に立つこと」「お金になること」なんて、その気になれば世の中にいっぱいあるけど、「楽しい気持ちになれること」「自分を笑顔にしてくれること」「自分をご機嫌にしてくれること」は、そんなに多くない気がします。もちろんこれは「モノ」だけじゃなくて、「ヒト」だって同じことで、自分にとって役に立ちそうな人・・・例えば「特定のスキルを持っている人」や「地位や名誉やお金のある人」「幅広い人脈を持つ人」って、もちろん自分自身の頑張りも必要ですが、それなりに何とかなりそうな気がします。それよりも「一緒にいて楽しくて、笑顔になれる人」のほうが、人生においてずっと大切だと思いますし、そのような人と出会えることがどれほど貴重で難しいことか・・・。

「『自分の役に立つ』よりも『自分の好き』を大切にする」

この言葉を自分自身にもシッカリ言い聞かせたいと思いました。


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