自分自身を見つめ直す

その日は久しぶりに雨が降っていました。
いつもと同じように早朝から家事に追われ、母をリハビリ施設に送り出した後、掃除と買い物をして、ひと息ついたところで15分くらいの休憩を取りました。ここでいつもなら、スマホでニュースを確認したり、YouTubeを見たりするのですが、この日は少し違いました。緑茶を飲みながら、スーパーで買った甘納豆を食べるだけ・・・スマホを見ることもなく、ただボーッとしていたのです。
(ちなみに緑茶は3月半ばからのお腹の不調が切っ掛けで飲むようになりました。甘納豆はこの時読んでいた小説の主人公が甘党で、物語のなかで頻繁に和菓子が登場してくることに影響されたのだと思います)
味覚では緑茶の少しばかりの苦みと甘納豆の甘味を楽しみつつ、聴覚は窓の外から聞こえてくる雨粒の音を感じながら、ひとりの静かな時間が心地よく流れていきました。短い時間でしたが、心をリフレッシュさせることができましたし、この「何もしないひととき」を愛おしくさえ思えました。

これは、少し前にお笑いコンビ「ロザン」のお二人がYouTubeで紹介していた「メンタル脳」という書籍をヒントに試してみたことなのですが、私自身にとっては得るものが多い時間になったと思います。

きっと、私は自分が思うより何倍も「ゆっくりとしたペース」で日々を過ごすほうが、自分に合ってるのだと思います。だから、最近の「行き過ぎとも感じられる効率化」には違和感を覚えつつ、その波に乗れずにいたのかも知れません。そして、ビジネス書などでよく見かける「スピード重視」な考えにも付いていけず、そんなことを真似しようとすると、全て空回りして失敗に終わってばかりでした。
さらには、「ゆっくりとしたペース」にも関わらず「休憩する時間もしっかり必要」なので、きっと周りからみたら単なる「ポンコツ」で、現代社会には全く向かない気質なんだと思います。ついでに言えば「マルチタスク」も苦手で、一度に複数のことに対処しようとすると、早々にパンクしてしまいます。ひとつひとつをゆっくりと丁寧に対処していくほうが、自分には合っているように思っています。

そして、私は自分が思うほど「デジタルな人間」ではなく、むしろ「アナログな人間」なのかも知れません。私は学生時代は理系を専攻し、就職もコンピュータ関連の仕事をしていました。しかし、長時間パソコンやスマホを見ていると肩こりと頭痛で体調を崩してしまいがちです。そして、読書の際も「電子書籍」ではなく、可能な限り「紙媒体」を選んでいます。そのほうが読んでいて疲れないし、真新しい本をパラパラめくったときの「紙の香り」を「心地よい」と感じることすらあるのです。

「私は自分自身のことを全く理解していなかったのかも知れない」

最近、事あるごとに思うようになったのですが、今回も改めてそのことを感じさせる出来事でした。もしかすると、自分が知らなかった自分がいるのではなく、年齢を重ねたことによる変化に気付かなかっただけかも知れないのですが・・・。

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