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ザ・レイドからはじめる数珠つなぎ

映画も音楽も数珠つなぎで見ていくとどんどん新しい作品に出合うことができる。昔は雑誌で調べたりTSUTAYAの店頭でしらみつぶしに見ていくしかなかったが、今は精度の高い情報を簡単に調べていくことができるので、以前よりも素早く好きなものを中心とした網の目を組んでいくことが可能になった。今回は夏休みを利用して大好きな格闘アクション映画『ザ・レイド』の関連作を端から見ていくことができたので、せっかくだからここに記録したい。

『ザ・レイド』とは

『ザ・レイド』(原題:The Raid -Redemption-)は、ギャレス・エヴァンス監督・脚本、イコ・ウワイス主演による2011年のインドネシアの格闘技アクション映画である。麻薬王が支配する高層ビルを舞台に、強制捜査に入ったSWAT部隊と、それを迎え撃つギャングたちの戦いを描く。
Wikipediaより

上記の引用にも書かれている通り、この作品は格闘技アクション映画であり、基本的には登場人物たちのアクションを楽しむ映画である。他にも数多く似たような映画の中で『ザ・レイド』が特におもしろい理由としては、
1 アクションの質が高い
2 格闘アクション映画にホラー映画要素が付け加えられている
3 主役級のキャラクターたちが魅力的
あたりが挙げられる。

1 アクションの質が高い
格闘技アクション映画なので、当然一番の魅力はアクションだ。この映画で大々的にフィーチャーされているのは「シラット」という格闘技だ。シラットはインドネシア、ベトナム、マレーシアなどの伝統的格闘技で、インドネシアでは軍隊の格闘術にも採用されている。武器術などを含んだ、実戦に重きをおいた格闘技である。第二次世界大戦後、オランダとの独立戦争においては実際にシラットを用いた戦闘がインドネシア軍とオランダ軍の間で行われていたらしい。

2 格闘技アクション映画にホラー映画要素が付け加えられている
ジャッキーチェンはかつてカンフー映画にコメディの要素を付け加えて成功したが、この映画ではホラー映画の要素が付け加えられてそれまでのカンフー映画とは全く違った印象を残すことに成功している。『28日後』で描かれた集団で迫るゾンビの恐怖や、『REC.』で描かれたマンションという閉鎖空間でゾンビに襲われる恐怖などがうまい具合に参照されている。また『仁義なき戦い』をはじめとする日本のヤクザ映画に置けるバイオレンス描写なども参考にされており、シラットの1対多の戦闘術により一層のリアリティを与えている。

3 主役級のキャラクターたちが魅力的
格闘技アクション映画らしくキャラクターたちの内面についての描写や背景の掘り下げなどはないが、アクションを見ているだけでも虜になるようなキャラクターがたくさんいる。主役のイコ・ウワイスをはじめ、隊長役のジョー・タスリム、そして敵役のヤヤン・ルヒアンはいずれもこの映画をきっかけに世界的なスターに成り上がっている。彼らの繰り出す一級品のアクションがまさにこの作品の一番の魅力だ。

数珠つなぎ1 アクション面での繋がり

90年代のアクション映画のアクションは、今見るとだいぶもっさりしてしまう。それだけ世界のアクション技法が向上しているということだけど、「ザ・レイド」は間違いなくそこに多大な貢献をしている。

1対多数のアクションという意味では「ジョン・ウィック」シリーズも間違いなく「ザ・レイド」の影響を強く受けている。ヤヤン・ルヒアンも出演してるし。

数珠つなぎ2 ホラー映画要素

監督のギャレス・エヴァンスは日本のヤクザ映画に造詣が深く、続編である『ザ・レイド GOKUDO』では遠藤憲一や松田龍平をYAKUZA役で起用している。その次の作品としては『アポストル 復讐の掟』というホラー映画を監督している。

『ザ・レイド GOKUDO』は1作目の直後に主人公であるイコ・ウワイスが潜入捜査官として現地のマフィアに潜入するところから始まる。マフィアとYAKUZAの権力争いの中に、組織の殲滅を狙うイコ・ウワイスが巻き込まれていく展開。ストーリーの要素が非常に多く、物語が単純化されている1作目と対比するとどの要素も少し中途半端になっている印象はあるが、アクションは素晴らしいし、遠藤憲一をはじめとするYAKUZAたちの演技も堂に入っている。予告編にも出てくる「戦争だ!!!」の場面は日常的に模倣したい名場面だと思う。

ギャレス・エヴァンスはウェールズ出身で、インドネシアに留学の後に現地で『ザ・レイド』シリーズを制作した。『アポストル 復讐の掟』は今度は彼の故郷であるイギリスを舞台にしたホラー映画である。近世のイギリスで異端のキリスト教信徒たちが暮らす島に、妹を救うために潜入した男が主人公である。島の住人たちの儀式はどこか『ミッドサマー』を思わせるような不気味さがある。

数珠つなぎ3 主要キャストの出演作

イコ・ウワイスとジョー・タスリムはコンビで敵・味方を演じ分けながら何作も映画を撮っている。

2人とも今ではアジアの枠を超えたスターだと思う。
特に自分はジョータスリムが大好きで、モーダルコンバットでサブゼロ役として出てきた時は登場シーンだけでテンションがめちゃくちゃあがった。

数珠つなぎ

エンターテインメントを数珠つなぎで掘っていくと、気づくと元いた場所とは全然違った場所にたどり着くことが多い。受動的に作品を消化しているだけでは絶対に出合えなかった作品に、自分なりの必然的な理由を持って出合っていく結果、リストは自分の独特なものになっていく。そうして広げたリストからまた数珠つなぎで別の作品に出合う、そんな感じで今後もどんどん素晴らしい作品に出合っていきたい。

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