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あなたの物語を読む、わたしの物語を書く



物語に執着する。ドラマも漫画もそこに在ることが普通で、日常だった。

漫画は小学生のときに、ちゃお・なかよし・りぼんの三大月刊少女漫画を読み始めてから、今に至るまで漫画を読んでこなかった日はない。毎月地元のTSUTAYAで新刊を買っていた習慣は、外出したら本屋に寄る今の習慣とつながっている。

中学からはアニメにハマった。深夜アニメがほとんど放送されない静岡住みの私にとって、「ノミタイナ」との出会いはちょっとした運命だった。あのとき観たギルティクラウンのおかげで新しい夜の時間を手に入れたと言っても過言ではない。

そして高校からはドラマ、大学では舞台といろいろな物語をもらって生きている。自分のキャパシティはそれほど大きくはないから、当然すべてを十分に楽しめているわけではない。

だからこそ、もどかしいのだ。満たされることは永久に来ないのだろうか。今日も物語に執着して、新しい人生を欲している。



今、本屋から帰ってきた。月初は本を買う日にしている。一冊は早めに読んで、残りは他のものと一緒に積まれていく。読み切る本より買う本のほうがいつも多い。近い将来、一日一冊本を読めるくらいの時間を手に入れたいと願いながら、如何に読書をする時間を作るかが今日の課題となっている。

本日買った本はエッセイ本とシナリオブック、それからミステリー小説。

毎年買う本の種類が変わっていく。一年間で心境の変化があったってことだ。変わらない日なんて一度もないけど、そう気づかされるのはいつだって本を探しているとき。今年は大体このラインナップ。

今日買った本はどれも読むのが楽しみだけど(じゃなきゃ買わないか)、特に『47歳、まだまだボウヤ』(櫻井孝宏 著)は早く読みたい。

エッセイはいちばん読んできた部類の本な気がする。なかでも役者さんの本が多い。役者さんは役柄を通してであれば、家族未満友達以上に顔を見て、声を聞いているのに、その実態は明かされない。となると、あんなに良い演技をする人の心の声が聞きたくなる。

私は人の想いが好き。人の声を聞きたい。それと、なにを思って日常を過ごし、役を演じたのか(作家であればなにを思って書いたのか)。作品に作り手の感情は必要ないという意見もわかるのだけど、私は何事も動機を知って安心するタイプだから、手段としてエッセイ本はインタビュー記事と同じくありがたいもの。

櫻井さんはSNSを一切していない。ご本人自らが綴るまとまった言葉はこれが初めてらしい。ある意味で現代の流れに逆らうスタイルともいえる。

「謎に包まれたままだと置いてかれちゃう」

庵野秀明監督が「プロフェッショナル仕事の流儀」に出演する理由としてこう語ったのを、今でも覚えている。ただそこに居れば情報が刺激が身体に流れてくる現代にとって、発信側のあえて与えない選択は容易にスルーされてしまう。ミステリアスは時代遅れ。距離の近さとお祭り状態が人を惹きつけ離さない。

とはいえだ。まだその秘密主義に特別感を見出し、掘り起こす楽しみを抱えた人がここにいるぞ。知らない一面を知ったとき、分かり合えたとき、有象無象の噂話に踊らされることなく、真の姿を見つめることができるはず。

だからSNSを一切しない櫻井さんの文章はより一層楽しみになる。どんな人なんだろう。




エッセイといえば、先月は大好きな人のエッセイ本が発売された。

上白石萌音さん。「ちはやふる」の頃から応援してる一押しの役者さん。

全編書き下ろしのエッセイは、それぞれ踊る、食べる、演じるといった「動詞」をタイトルにして綴られる。動きを表す言葉を出発点に、萌音ちゃんの頭の中を覗く。

書くことは、伝えるということは、
見つめることから始まるのだと思った。

本の帯にも書かれているあとがきの一文。
一文字一文字に対して考える、自分の本音と向き合う行為が書くことだ。書くって意外と雑にできないし、嫌でも自分を知ることから始まる。だから良い。

50遍のエッセイから、萌音ちゃんの考えしいなところとか真面目なところ、こだわりが感じられた。こういう好きな一面が増えていくから、エッセイをどんどん買い込んでしまう。

数年後もどんな言葉で綴ってくれるのかを密かに期待しよう。




エッセイは好きだけど、自分ではほとんど書いたことがなかった。過去のnoteに残っているものは大体が日記だと思う。

そもそもエッセイと日記の境界線をあまりよくわかっていない。今のところ「誰かに届けるものがエッセイ、自分だけの秘密を含むものが日記」というところに落ち着いているけれど、今までその定義付けをしたこともないのだから意識して書いたこともなく。

これからはエッセイを書いてみたい。人に届けるわたしの日常。需要はないが、私みたいな人には受けると思う。

テーマを作ったり、四季を感じられるお題だったり。やはり書く人に憧れる。物語を書く人でありたい。フィクションでもノンフィクションでも。


今日の本屋さん、後日談

6冊の本をお持ち帰りして嬉しい一日だったけれど、少し心残りもあった。

滝藤賢一さんのファッションブックや綾野剛さんの言葉と写真集、とても惹かれたなあ。あの本の厚みといい、内容の鮮やかさといい。かっこいい男性の生き様が詰まっていた。どんな服も着こなしていた、馴染んでた。写真にのせた文章もゆっくり味わってみたかったな。でも、わたしに今そのかっこよさ必要か?とか思っちゃって買うのやめたんだよなー……あとちょっと良い値段してて、懐事情で。写真集やスタイルブックはその人らしさの集大成みたいで、手に取るだけで想像が広がるよね。

次、また本屋行ったらあの棚を見に行こう。


ありがとうございます!