見出し画像

編み物と祖母の話


編み物をはじめてしたのはいつだろう?
記憶を遡った時に、思い出したのは高校時代だ。

charaが「junior sweet」のジャケットで着ているニットのパッチワークのワンピースが可愛くて、
ああいうもの作りたい!
と言う気持ちから手始めにマフラーを作る事にした。
家政科家系だったため、祖母がなんでも出来た。
祖母に教わりながら、ゴム編みのオレンジ色のマフラーを作った記憶がある。

凄いボリュームで派手だったけど、
案外評判が良くて、クラスの友達に色違いでピンク色のマフラーを作った。
卒業式にそれを付けて2人で撮った写真が残っている。

けれども、社会人になり
趣味に省く時間も無い位
働いたし、遊んだ。
お金を稼ぐことを覚えたから、
欲しいマフラーは買えばいい。

転勤で上京し、東京に馴染むためにも
やっぱり、働いて、遊んだ。
徐々に一人になりたい。と思うようになっていた。
一人で楽しめる趣味を探していた。

働いて、遊ぶのに忙しかったので、
実家にはしばらく帰らないでいた。
その間に祖母の老いはすすんでいた。
一緒に居たい気持ちはあるけど、
何を話題に喜ばせれば良いか分からなかった。
そんな時に思い付いたのが
編み物だ。

とにかく編みたい!と思う作品を
実用書を頼りに編みまくり
実家に帰る度に編んでいる物を披露し、
珍しい糸を買って見せたりしているうちに、
とうに祖母のレベルを超えてしまった。
祖母から教わった糸の掛け方は
かなり自己流でオリジナリティに溢れていた。

祖母は数年前に他界したが、
沢山のアクリルタワシが親族に配られた。
もしかしたら祖母はかぎ針の方が得意だったのかもしれない。
もうすぐアクリルタワシも使い切って、底をつきそうだけど
編み物をしていると、一緒に居る気がする。


この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?