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【絵本 きょうはそらにまるいつき】

満月を見れば、自然と口をついて出てしまう「あ、満月だぁ」そこかしこで、みんなが空を見上げている。赤ちゃんも、男の子も女の子も、みんな月を見ている。そんな絵本です。

【並べて楽しい絵本の世界】荒井良二③

少しづつ夜が近づいてきているけれど、まだ公園には たくさんの人がいます。いっぱいお買い物をしたお母さんが ベビーカーを押して公園を通って、おうちに帰ろうとしています。

スケボーに乗った男の子
おそろいの服着た仲良し女の子
ギターをさげたカップル・・・

あかちゃんが そらを みています

公園の向こうには ビルやマンションが 見えて、人々はそちらに向かって歩いてるようです。

きょうは そらに まるいつき

あかるい 満月に照らされる 美しい見開きのページ、見ごたえがあります
街の中はまだとても賑やか。お月様は出ているけど、夜にはまだまだ遠い。

バスの中 窓から満月をみあげる女の子。向こうの通りをさっきのお母さんと赤ちゃんが家路を急いでいる。

遠い山でも、きょうはそらにまるいつき

人がいなくなった公園の大きな木の下には、ねこたちが集まってくる
お店を閉めてカーテンをしめる、見上げたそらには まるいつき
おうちに帰った赤ちゃんは、寝かせられたベッドから空をみている

空はだんだん暗くなってきます。公園では明るい電気をつけて、なにやらイベントが開催されている様子。
それぞれの思い、それぞれのいちにち。
家々の窓にあかりが灯り、空は紺色を深めていきます。
赤ちゃんはお母さんに抱っこされて、ベランダで まるいつき を見ている
それぞれの空に それぞれの一日の終わりに

 きょうはそらにまるいつき

みんなが月を見上げているけど、月はみんなを照らしている、見守っている。

そんなお月様を発見して、心の中で、
「あ、今日は満月だぁ」ときっとみんながつぶやいていているでしょう

ページをめくるごとに繰り返しくりかえし
きょうはそらにまるいつき
ごほうびのようなおつきさま

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先日、知人が亡くなりました。
個性が強すぎて、人とすぐにケンカになってしまう人でした。お葬式のあとに、「奴について話そうぜ」と誰かが言っても、口々に悪口しか出てこなくて、それにみんな なぜか爆笑しながら「待ってろそのうち行くから」といいながら思い出話をしていました。お空の上でもケンカになるかも。さみしい人だったなーと思うこともできるし、それでもこんなに人が集まってくるんだなーと感心するし、人の一生の旅って不思議なものです。

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荒井良二さんは、近所に出かけるときでも、いつも同じ姿でにでるような気持ちで外へ踏み出すのだそうです。そうやって画家のみた風景が、作品となって私たちの手元に届くとき、はてしなく心が癒される絵本になっています。

その絵本はちいさな人たちのもとへも、しっかり届くように、楽しく美しく描かれています。そして読んであげるおとなの心にもそっと触れてくる、そんな世界です。いつでも 絶対伝わるんだっ、という作者の思いがビシっと伝わってくる本です。


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5年前に出されたこちらの絵本と対(つい)になる絵本だと荒井さんは言っています。
この2冊の本を通して、朝と夜が私たちに、もたらしてくれるものを、見事に表現されています。


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上の2冊の後に刊行された最新作
【こどもたちはまっている】についてはこちらに書きました。
よかったら合わせてお読みください。








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