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【JChem】ChemAxon/Infocomノード群を使ってみよう_06_JChemノード群Ro5編

【ChemAxonのChemical Termsノードについて】

「JChem Extensions」には
Chemical Termsという、化学計算式を使ったMath Formulaのような機能があるノードがあります。



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のGoogle翻訳より引用します。

分子を入力として受け取り、指定された計算を実行します。計算は、[オプション] ウィンドウの化学用語関数として定義され ます。(開始文字を入力すると、使用可能な関数名が表示されます。関数の簡単な説明も表示されます。)計算の結果は通常、出力ノードに渡されます。

どれだけ多機能かをどう伝えたらいいか。
例えばもし私が今のペースでnoteを書くとして、Chemical Termsの全ての初期設定をまっきーさんのMath Formulaの説明の様に解説すると、数か月掛かるだろうと見込みます。

デフォルトで入っている化学計算の関数が26種あり、組み合わせでできることが増えます。

そんなわけで(?)たった一つだけ機能を紹介します。

Ro5の合否判定です。


【Chemical TermsノードでRo5合否判定】

Ro5に関してはW2で扱いました。

• 分子量が500ダルトン以下
• 水素結合アクセプターが10以下
• 水素結合ドナーが5以下
• LogP (オクタノールー水 分配係数) <= 5

今回は4ルール全てをクリアすることを条件に判定します。

入力データを用意します。

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例えばですが、W1のメタノードから上図のようにMolecular Type Castに繋ぎ、以下JChemノード群を使ってworkflowを作ってみます。

<参考>
https://note.com/knimesupportteam/n/n69343910d4cc


作業スペース確保のために私はW1の下のW8より下のスペースに今回のworkflowを作っています。

さて、Ro5判定前に、まずは化学構造データをフリー化します

<参考>
https://note.com/knimesupportteam/n/n5c684de49018

上図のMolConverterの設定は

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そこへ
Chemical Termsノードを接続して

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Chemical terms expressionメニューから”Lipinski’s rule of five”を選んで下記設定とします。

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MassやlogPなどの化学計算結果がそれぞれ基準を見てしているか判定し
”&&”で全てANDでつないでいますので、
4条件全てが合格だと、Lipinski’s rule of fiveカラムにtrueが出力され、
1つでも不合格ならfalseとなります。


結果は、

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ユーザーとしてはノーコードでRo5判定できますね。
カスタマイズしたいときもローコード開発ができる便利なノードです。


【Ro5判定をJChemノード群で自作してみよう】

上記はお手軽の判定結果だけが得られるんですが、多くの方はその判定根拠となった各計算値も一緒に見たいのではないでしょうか。私もそう思ったので下図のようにworkflowを作ってみました。

計算条件をChemical Termsノードの”Lipinski’s rule of five”に敢えて合わせています。

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各ノードの詳細は省いて、設定画面のみ記録します。もっと深く知りたい方、twitterにDMください。一緒に勉強しましょう!

【logP】

今回の算出条件はConsensusなのでご注意ください。

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【Elemental Analysis】

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実はExact massを使った判定の方が一般的かもと思うのですが、そこはまたいつか。


【H Bond Donor/Acceptor】

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このノードはどの原子をH Bond Donor/Acceptorと判定したかまで可視化してくれます。非表示には出来なさそうです。


【Rule Engine】

技術的解説はまっきーさんにお任せします。

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Chemical Termsノードの”Lipinski’s rule of five”に一致するようにOutputを合わせたExpressionになってます。改善の余地はありますがまあこれで動きます。

上記をすべてまとめて実行した結果は

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となります。


【秋の迷走台風のように】

ここまで読み続けて下さっている皆様、W2の体験記以降5回連続のスピンオフに驚かれていることでしょう。このままでは大気圏離脱しそうなので次回までとして、本編TeachOpenCADD-KNIME体験記のW3に戻す予定です。
でも次回は化学計算の条件設定にちなんでRDKitとJChemの比較をしてみます。

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記事を読んでいただきありがとうございます。 先人の智慧をお借りしつつ、みなさんに役立つ情報が届けられたらと願っています。 もしサポートいただけるなら、そのお金はKNIMEの無料勉強会の開催資金に充てようと思います。