20221101

 雲の多い一日。思ったよりも気温は高く、過ごしやすい。街路樹や公園の木々の枝先の葉は赤や黄色に色づいて落ち葉も排水溝のあたりに積もっていて、秋の街並みといった感じだ。今日から暦では十一月。二〇二二年もあと二か月を切った。今年を振り返る時期になったが、全く覚えていない。公募にはずいぶん提出したが、結果を残せなかった。課題が多すぎてどこから手を付けていいのか、わからない状態が続いているせいかもしれない。神保町ブックフェスタで購った本を読み始めた。Twitterで本の写真を上げたところ、破滅派同人の方から読書会に誘われたので、大江健三郎『万延元年のフットボール』(講談社文芸文庫)を読んでいる。ずっと読みたいと思っていたのだが、なかなか見つからなかったので嬉しい。ノーベル文学賞受賞作として、彼の代表作と言えば今作が挙げられるだろう。大江は『飼育』や『性的人間』など初期の短編しか読めていなかった。『飼育』では正直、ピンと来なかったのだが『性的人間』は面白すぎた。表題作「性的人間」は性に奔放な若者たちが山荘で映画のために乱交を撮影するのだが、村人に目撃されてしまう。その後、電車で痴漢行為に及ぼうとする詩人を目指す青年と出会い、彼に影響され痴漢への誘惑に魅入られる。性への執着を描きながら、官能さよりも突飛な思考が丁寧で芳醇な語彙で書き連ねられている。『万延元年のフットボール』でも冒頭から、頭を赤く塗りたくり、尻に胡瓜を突き刺して縊死した友人や渡米した弟が売春婦から性病をうつされ、病状を説明すると――ペニスがburningなのね――といった文字列が並ぶ、ぶっ飛んだ内容である。大江の面白さはもっと知られてもいい気がする。

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