20240710

 『推しの子』のアニメを観ている。かなり面白くなってきた。シーズン1ではアイドル・演劇論、そしてリアリティショーやSNSに対する問題提議を含む内容で地下アイドルと運営の問題などかなり実情に突っ込んでいたところもさることながら、YOASOBIの主題歌に全て持っていかれた感があった。
 今回も中島健人とキタニタツヤのユニットGEMNと羊文学によるOP曲、ED曲は豪華と言えるが、やはり内容に注目したい。2.5次元舞台から幕を開けるシーズン2では(シーズン1でも漫画のドラマ化で原作者とドラマ制作側の思惑や大衆論理がフックとして持ち出されていたが)、ついに脚本家と原作漫画家が全面的に対立する。『セクシー田中さん』の痛ましい一件をどうしても思い出してしまうが、今作では脚本家の哀愁が描かれている。しかし、この件でもかなり実情に近そうな制作過程が説明されていて作者の問題意識の高さを窺わせる。同時にキャラ論や漫画論にまで波及するメタ批評になっている構造も凄い。今作はすでに実写化が決定しているが少し心配になるくらいに批評的な眼差しが鋭い。

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