20230209

 久しぶりに晴れたものの、風の冷たい一日になった。三寒四温とはよく言ったものだ。公園に繁茂する草木を見てみると、冬でも落葉樹と年中青々としている広葉樹、針葉樹、様々な種類があることが分かる。どことなく冬のイメージは葉のない落葉樹のイメージが強かったので、これはわたしにとって発見だった。いくつになっても外に出歩き、観察するということは人生に新たな価値観をもたらす、とまで言うと大げさな気もするが、しかし何か目的――わたしの場合は小説における風景描写――を持って行動すると、そういったことが度々起こる。神は細部に宿るとはよく言ったもので、注意深く観察するとそこにはいつも驚きや発見がある。なんとなく眺めている時とは違った視点を持つということで、それは価値観そのものを転倒させる――時にはそれが世界自体を変える、例えば先日の牧野富太郎やファーブルが顕著だし、二〇世紀以降では原子や電子などのミクロな世界からブラックホールなど宇宙まで広がるマクロなものまで――ことがある。最近ではコスパやタイパといった言葉が常用されるくらいに、なにか一つの物事において如何に効率よく、短時間で処理するか――これは経済資本主義下におけるポスト・フォーディズムの影響が大きいのだろうが――ばかりが叫ばれる忙しない世の中ではあるが、だからこそ、あえてこうした流れに逆らう、ということも自身の人生において大事にする必要がある、そう思うようなことが多くなった。

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