20240518

 アーネスト・ヘミングウェイ『老人と海』(高見浩訳、新潮文庫)を読んだ。天邪鬼なので、読んだことがなかった。ヘミングウェイのイメージとして〝マチズモ〟の権化みたいに思っていたので避けていたこともある。今回読んでみて、まさにそのイメージ通りでやはり苦手と感じた。漁師一筋の老人と彼を慕う少年、大魚とサメとの格闘、野球と男性的な世界観で、「男は常に強くあらなければならない」という具合だ。
 ただ、冒頭から海に出る場面はやや幻想的で初めは老人の夢かという感じで、最後の終わり方も儚い感じでその部分には好感を持った。細かな解説とヘミングウェイの年表もヘミングウェイの作風を垣間見る上で大いに役に立った。彼が自死したことは知っていたが、その前に飛行機事故でひどい後遺症に悩まされていたことは知らなかった。改めて考えると、この作品に見られる男性像に彼自身苦しめられていたのかもしれない。

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