20221226

 快晴。この感じで年が暮れると助かる。大掃除とかしないといけないだろう。なかなか腰が上がらない。早めにやっておくべきだった。今日は文藝賞「ジャクソンひとり」でデビューし、同作が芥川賞にノミネートした安堂ホセと書評家の倉元さおりのトークショーが行われた三軒茶屋のTwililightにお邪魔した。ジャクソンというミックスの日本人が何気なく着たロンティー(ロングTシャツ、このあたりをサクッと作中に使えるあたりに世代差を感じる)から読み取られたQRコードから彼と同じような外見をした男のショッキングな映像のサイトが表示されて、ジャクソンは周囲の人間からあらぬ疑いをかけられる。しかし、それが自分ではないと分かったジャクソンはその映像の真相を探るうちに、三人の同じミックスの男性たちと出会い、彼らは自分たちを入れ替えてささやかな復讐を行ううちに思わぬ展開を迎える。めまぐるしく変わる視点と、ドライブする展開、思わぬ結末と一気に読者を引き込む作品だ。もともと映画の脚本を勉強していたそうだが、小説として表現した方が適していると思い、作品を文藝賞に送ったところ、いきなり最終候補に残り、翌年受賞に至るという超エリートコースをばく進中だ。わたし自身も小説を書いているので、やはり彼の創作論が気になった。「空間における文字で表現できるギリギリまで書いて、細かいところまでは書かない」という彼の作中における風景描写の話はたいへん身につまされるものだった。倉本氏も「書きすぎると物語を追えなくなる」と相槌を打っていた。わたしはどうしても脳内にあるイメージすべてを描こうと仔細まで書く癖があるので、この話はたいへん納得した。

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