20230602

 台風に伴う大雨の一日。久しぶりにびしょ濡れになった。小川洋子読書会の日。課題図書は『ブラフマンの埋葬』(講談社文庫)だった。〈創作の家〉と呼ばれる芸術家に解放された施設の管理人を務める語り手が、傷ついた森の動物を保護し育てる。創作の家で碑文彫刻師の彫った文字から「ブラフマン」と名付ける。語り手はブラフマンを大事に育てながらも、いつか来る別れの予感に戸惑う。彼には翻意にしている雑貨屋の娘がいるが、彼女には年上の恋人がいて、それでも語り手は娘の気を引くために、ブラフマンを見せてみたり車の運転を教えたりする。そうした日常を通し、語り手の成長を描く。今回は新たにフランス在住の方も参加してくれた。今作は南仏のをモデルに書かれたという。その前提を知らずとも、作品中の描写にフランスの風景を重ねておられたので、改めて小川洋子の描写に感嘆した。

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