20230706

 晴れて暑い一日。小川洋子の『ホテル・アイリス』(幻冬舎文庫)を読んでいる。F島に住むロシア語の翻訳家と「ホテル・アイリス」の娘が出会い、官能の限りを尽くすという、小川作品としては異色のものだが城壁が観光地となっている海辺の町、亡くなった優しい父との思い出、守銭奴になった母、盗み癖のあるおばさん、舌を失って話すことができない翻訳家の甥など世界観や登場人物は相変わらずの小川ワールドに満ちていて、何を書いてもその作者の特徴が出るというのは、やはり魅力的だと感じる。

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