地獄のサイクリング
今日は今までのサイクリングの中でも特に過酷なものだったと言っても過言ではない。家から専門学校までの自転車のルートを母とシミュレーションしたのだ。
私は方向音痴である。初めて来た場所、或いはあまり来たことのない場所の道には疎い。今回は後者に当てはまる。案内係として母がセットでついてきたのだ。
家を出て角を曲がり、しばらく行くと横断歩道があるのでそこを渡る。あとは歩道を車道に寄りながら真っ直ぐ行くだけである。
が、ここで1つ問題が起きた。私の自転車の乗り方が危なすぎるのだ。真っ直ぐ走ろうにもフラフラする。小回りが効かない。ぶつかるのが怖くて急に止まる。見かねた母は、専門学校の近くの広い道で私に自転車の乗り方を指導することにした。
そこからが大変だった。後ろから聞こえる母の指示を聞きながら動きを意識し、車や人がいつ来るか辺りを見回し、見えない場合でも車の音は聞く。この4つを同時にやるのがかなり辛かった。普段から車や自転車に乗っている人には簡単に思えるかもしれないが、私にはとても難しいことだった。
車には乗れないだろうからせめて自転車だけは、と少し前から練習を始めたのだが、なかなか上手くいかない。小学生の頃に自転車に乗っていたことはあったが、その時はいつも必ず父がついていた。たった1人で自転車に乗ったことなどこれまでなかったのである。それを明日から1人で乗る。なのにフラフラするし周りは見てないし音は聞こえないし。母は相当心配しただろう。
同じ道を何回も何回も走った。たぶん7周くらいはしただろう。スマホで時間を確認することも許されなかった。ゴール地点に着いても「じゃあ、頑張って」という母の言葉を合図に走り続けるだけだった。2時間は経っているだろうと思っていたが、母から「まだ1時間くらいしか経ってないから」と言われて失望した。
練習は4時半頃から6時半頃、だいたい2時間くらい続いた。母の言っていたことはもちろん全て正しいことだったが、声を聞きながら指示通り動きながら車を見ながら後ろから来る車の音を聞くというマルチタスクに、私は精神的にも体力的にも疲れてしまった。母には「たったあれだけで疲れたなんて。私の方が疲れたわ」と言われた。ご最もである。
眠い。まだシャワーも浴びていない。書類は書き上げた。明日の支度もできた。早くあったかいお布団で眠りたい。