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『君が護りたい人は』/石持浅海著

中学生の頃に山で両親を亡くした、歩夏(ほのか)が婚約した。相手は両親の死に責任を感じ、歩夏の後見人を務めてきた20歳も年上の奥津。
歩夏に片想いする同い年の三原は、彼女が無理矢理結婚させられるのだと奥津の殺害を企て、芳野にその行為を見届けて欲しいと話すのだが…。
舞台は、彼らが所属するトレッキングサークルで訪れたキャンプ場。そしてその場に居合わせるのは…碓氷優佳。

優佳シリーズ第5作。(高校時代の優佳作品はスピンオフ扱いだそうです)

残り二十数ページで、低く響く優佳の声。
キターッ!
さぁこれは、今から始まるお馴染み『優佳タイム』のゴングの音だ。

今作はいつもと構図が少し違う。犯人vs優佳ではなく、傍観者vs優佳なのだ。

相変わらず、ありとあらゆる可能性の道を一つずつしらみ潰しに塞いでゆくところが素晴らしい。しかもこれは毎シリーズ、優佳の仕事ではなく、対決相手の仕事である。これだけでもう、(優佳の)相手にとって不足なしの切れ者だということがわかる。
そして切れ者であればあるほど、更に上を行く優佳の的を射た一言に、読者は呆然とする。
石持ロジック、健在なり。

今回は優佳の高校時代の友、謙信(小春)が登場するところもファンには嬉しい要素の一つ。

一つだけ言わせていただくと、座っている位置が表紙絵と違うので、少し混乱した。

満足。

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