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【CESレポート】世界最大級のテクノロジーの祭典で感じた行動認識AIの胎動、そしてジャパンAIの優位性

元日に投稿した新年のご挨拶の後、米ラスベガスで開催されておりました「CES 2023」に自社プロダクトを出展しに行っておりました。アジラの木村です、お久しぶりです。

同展示会はtoC向けのエレクトロニクスがメインで、SONY&HONDAの「Afeela」などが注目の的ではありますが、世界中のスタートアップが集うグローバルな展示会でもあります。

地元USはもちろん、フランスやイスラエルといった各国の有力スタートアップが集い、我らがジャパンも J-Startup 36社が出展しました。

CESで垣間見えた「行動認識」技術の胎動

行動認識技術とは、映像や電波などのセンサーデータを入力とし、人物の行動を認識、あるいは予測するAIアルゴリズムを活用した技術です。詳しくは以下記事をご参照ください。以降、略して「行動認識AI」とします。

CES2023においてスタートアップが集う「エウレカパーク」をくまなく探索し、行動認識AIをベーステクノロジーとした事業を展開しているスタートアップを調査したところ、今年は6社が出展していました。

事業ドメインはフィジカルセキュリティ、ヘルスケア、スポーツ、エンタメ、FAと多岐にわたりますが、前年のCES2022に出展していた同系の企業はたったの2社でしたので、単純計算で3倍になっています。

この事実は、いよいよ行動認識AIのビジネス価値及び計算リソースのコストが、市場のニーズとフィットしてきたことを表していると考えています。おそらく来年はさらに増えることでしょう。

西村経済産業大臣もジャパンブースにご来場

ニッポンAIの優位性

さて、行動認識AIが利用されている各国のサービスや製品を、かなり仔細にみて回りましたが、当該技術において、我が国(=アジラ)はかなり先行していることがみてとれました。詳細なレポートは社内向けに留めさせて頂きますが、「なるほどな」と思った仮説がひとつあります。

それは、ラフで豪快な欧米AI、きめ細やかなニッポンAIという構図です。ビッグテックと呼ばれるグローバルプラットフォーマーも、案外ラフなサービスを展開しているイメージはあります。

ところが、AI開発、特に非構造化データを扱う画像認識/映像認識に関して言うと、AIテクノロジーの構築知識は無論のこと、認識対象・分類対象に対するアカデミックレベルの知識に加えて、途方もない量の繊細で緻密な作業が必要です。大味な開発スタイルを主とする欧米に、それが可能なのかどうか。もしかすると、そここそジャパンの得意分野で、勝ち筋なのでは、と。

ちなみにその点に置いては筋金入りで、海外ブランチのメンバーに「ほんと日本人は細けぇ。勘弁してくれェェェェ」と絶句されたりするほどです。

かなり飛躍して例えるなら、量産型の自動車をつくったのは100年前のフォードやGMですが、それを模倣して生産効率や品質を高めて世界を取ったトヨタ、このモビリティ業界の歴史が、この先10年でAI業界に起こり得るのでは、と感じたのでありました。

AIのトレンドやいかに

もはや外から見てどんなAIがどう使われているか、我々のような専門家でもわかりにくくなってきていますが、行動認識AIに限らず、AIは様々なサービスや製品に組み込まれているようでした。

今後のトレンドはどうなっていくのでしょう。

2010年頃から始まった第三次AIブームが早くも終焉を迎え、AI研究は「冬の時代」に突入したと見るBBCの記事のような向きもあります。この記事は2020年のものですが、AGIと呼ばれるドラえもんのようなAIの研究に対しての言及になります。

一方、テクノロジートレンドを客観的に図る指標として、ITコンサルファームのガートナーが毎年発表している「ハイプ・サイクル」は異なる見解を示しています。

それは、イノベーションが注目されてさまざまな成功例が登場した後、関心が薄れる期間を迎え、市場で重要性が理解される時期を経て、テクノロジーが進化するトレンドを描いたものですが、人工知能は過度の期待が調整される「幻滅期」を終え、啓発期に入り、生産性の安定期に向けてビジネス価値がスケールしていく、としています。

前述のBBCの記事とは時期も違えば「人工知能」の定義も違うようですが、実際のところどうなんでしょう。冬の時代なのか、もう氷河期で絶滅寸前なのか、それともこれから本当のイノベーションが始まるのか。最近のChatGPTやStable Diffusionを見てみなさんはどう思われますか?

海外メディアに掲載

素敵なイラストで紹介して頂きました。

Smart Home関連のテクノロジーとして紹介して頂きました

その他、様々なメディアで紹介頂きました。

CESの主役は家電化が進むモビリティ

アイキャッチの画像はモビリティセクションに展示されていたステランティス・プジョーの「インセプション・コンセプト」です。

INCEPTION CONCEPT | Peugeot

パワートレインにはフロントとリアにひとつづつ、合計2つの電気モーターを採用する4WDです。トータル出力は680馬力(500kW)で、0−100km/h加速は3秒以内となっています。800V技術が搭載されており、100kWhのバッテリーで1回の充電で497マイル(約800km)走行可能だといいます。電費は100kmあたりわずか12.5kWhと非常に低くなっています。

https://vague.style/

いまだに化石燃料を燃やして走っている私の脳に、これらのスペックはあまり響きませんが、そのデザインは未来を感じさせるものでした。乗りたいと思わせるかっこよさ。

また、純粋なカーメーカー以外の半導体メーカーや、センサーメーカーなどがコンセプトカーを出展していたのが印象的で、その共通項として重要になってきているのが、キャビン空間での快適性を高めるテクノロジーだと見受けられました。

そこでもまた行動認識AI活用の大きな機会がありそうです。

今回いただいたベガスメシ

最後にラスベガスで食したアメリカンダイナーを掲載して今日はお別れです。

1953創業、デニーズのランチ
みんな大好きマッダーナル、創業は1955年
BACON NATION
ナチョス専門店ナチョダディーのポークナチョス
Dunkin'のアボカドとサンドライトマトの朝メシ

外食三昧だと間違いなく太りますね。0.09㌧に限りなく近づきました。

ラスベガスは人も明るく優しくて、米国の「明」って感じですごくいいところでした。数年前に行った8 Mileなデトロイトとはまるで別の国のよう。

また行きたいです。

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