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「社会実装若手の会」を発足します

立場上「イノベーション」とか「産学連携」とか「大学発スタートアップ」みたいな言葉をいっぱい聞くし、なんなら自分でもめっちゃ言ってるんですが、漠然とした違和感がずっとあります。

その違和感は、具体的にはキラキラしたスタートアップ向けのシェアスペースだったり、ESG投資やソーシャルベンチャーといった文脈と絡めたイベントだったり、色々なところに現れます。

おそらく、「研究の社会実装」というものがあまりに資本主義と密結合している現状のエコシステムに対する違和感なのだと思います。

日本は資本主義国家なので何をするにも資本家が主役になります。ベンチャーエコシステムにおいてはベンチャーキャピタルが資本家とスタートアップのハブになり、不動産会社などが場所を提供する。

現状その体制で素晴らしいイノベーションがたくさん生まれているので大いに結構なのですが、一方「そうじゃない人たち」の為のエコシステムがあまりに貧弱なのではないか、という印象を受けております。

それは例えば資金調達をせずに自己資金で回している受託開発中心のテクノロジーベンチャーだったり、製造系メーカーの研究者だったり、イノベーティブな考え方を持つ地方の中小企業のオーナー社長だったり。こういう人たちは研究の社会実装の現場、先端技術の活用によるゼロイチの価値創造で活躍しながらあんまり横軸のコミュニティがないように感じています。

例えば、「研究の社会実装をしたい」という想いはあっても、現状のエコシステムが提供するのは起業支援と称して、その想いを「資本家のやりたいこと」にすり合わせ、大資本からの投資を受けられるきれいな事業計画を描くことです。

それはそれで重要なんですが、「めっちゃ面白そうなんで、とりあえず3年分の給料は出すからそれうちでやりませんか?」という企業からの支援、みたいな出口ももっとあっていいと思うのです。

そもそも日本の博士を持つ研究開発型スタートアップの創業者に「大金持ちになりたいのか、研究の社会実装をしたいのか、モチベーションはどっち?」と聞くと、多くの人が「研究の社会実装がしたい」と答えます。

日本の状況で大金持ちになりたい人が博士進学をすることが稀なので、それは当然の答えです。しかし、「大きな金銭的な報酬よりも研究の社会実装の実現を目指したい人」がいたとして、現在の研究開発型スタートアップ支援コミュニティが提供できることは投資家をつなげて起業させ、不要なリスクと不要なスキルの習得を創業者に負わせることです。

インボイス制度を理解したり、労働局の人にファックスを送ったりすることと研究の社会実装は関係ないのではないか?

現在の大学発スタートアップのエコシステムは投資家の都合に寄りすぎているのではないか?

もっと研究者の目線で、研究の社会実装を考えることはできないか?

そのために巻き込むべきステークホルダーは誰か?

そんなことを考え、「社会実装若手の会」を発足することにしました。

まだ何も決まっていませんが、2024年の夏、合宿形式でオンサイトのイベントを行い、日本の研究開発のエコシステムに関して考えていこうと思います。
ぜひ参加いただきたい方としては下記のようなイメージをしています。

・アカデミアの研究者
・民間企業の研究者
・中小企業/スタートアップ経営者
・その他上記の思想に賛同いただけたすべての方

また、僕が運営している産学連携のコミュニティ内でイベント企画のためのチャンネル立ち上げましたので、興味ある方はご参加ください。
https://tayo.jp/communities/01GMC7J2DAH1KNN07HABSJR28F

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