抱負①


抱負① 似合う髪型を見つける

今年こそ、芸人として最適な髪型を見つけたい。メインは漫才になるので、漫才の説得力が上がるような髪型がいい。印象的で雰囲気のある髪型。

私に何が似合うかを一番理解しているのは旦那だと確信している。二人でショッピングをしていても、私は「これ着たらおもろいかな?!」などと不純な動機で奇抜な服を手に取ってしまうが、旦那はしっかりと似合う服をオススメしてくれる。さすがに結婚しているだけあって、非常に信頼できる男である。

我が家ではしばしば私の髪型を議題に据えた会議が開かれる。開かれる頻度は芸の迷い具合に比例するので、悲しいことに最近はものすごい頻度で開かれている。頻繁に開かれているが、議論の帰結は変わらない。

「前髪なしセンター分けロング」

旦那曰く私に似合うのはロングだという。たしかに初めて会った時も、私の髪は、すれ違った人にため息まじりでASIENCE…と言わしめるほど綺麗な黒髪ロングだった。今は染めているが、その頃のような髪型がいいのでは?と提案してくれる。そうした背景もあり、私は「えへへ、やっぱ惚れた時の髪型がちゅきにゃにょきゃにゃ??へけっ☆クシクシ!髪の毛だけに櫛!へけっ☆」と、すっかりとっとこしきっていた。

それからしばらくして、迷いハム太郎のような私はハム太郎で言えばリボンちゃん的存在である旦那に再び髪型の相談した。このとき迷いハム太郎はこうしくんくらいそわそわとしているが、リボンちゃんはタイショーくんくらいどっしりしている。え?でもなんかタイショーくんってトラブルメーカーのイメージない?あれ?小さい頃見てたイメージだけでぼんやり話してるけど、リボンちゃんってハム太郎の女よな?不安なってきた…ハムタロサァン…。

失敬、話がすみっこに逸れてしまった。すみっこそらし。失敬。

旦那の回答はやはりロング。頑なに答えを変えない…もはやそこに熱い信条すら感じる…。これ昔の女が影響してたらどうしよう…ショック受けたくないんだけど〜!!などと案じながらも、意を決して問うてみた。

「元々ロングがタイプなんやっけ?」

「いやべつに、髪にタイプとかそういうのはないな」

「じゃあなんでそんなロングがええの」

「笑い飯の西田さんとか、POISON GIRL BANDの阿部さんみたいで、かっこいいじゃん」

(再掲)「笑い飯の西田さんとか、POISON GIRL BANDの阿部さんみたいで、かっこいいじゃん」

…え?…え、その、ロングなん?菜々緒とかじゃなくて?かっこいい漫才師のロングやったん?いやたしかにさ、今後お笑いやっていく上でって話ではあったけどさ、あんだけロング言うててさ、あとうち女やしさ?!あの雰囲気のあるロングに、私も並べるってこと?!それは嬉しいけど!それは嬉しいですけども!!嫁やで?!わし、あんたの、嫁やで?!

配偶者のNSC入学を許すほどお笑いに熱い男であることを失念していた。本年も現世でお笑いができることに感謝しながら、髪を伸ばそう。いつか完全に最適な髪型が見つかるその日まで…。

まだセンター分けにできない理由はまた今度。

おしまい


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