未来2021年7月号詠草「滞る日々」 風野瑞人

未来2021年7月号詠草「滞る日々」 風野瑞人


ガラス越し見える景色の晴れ晴れと 満員電車の口を閉ざす日々


終わりへと向かう名所のスクランブル交差点の青が止まない


いつまでも休符にならない旋律のようなグラフがテレビに映る


ひとを避けつづけて独りの散歩まで風に帰れと背中を押され


走る悪寒 枯れかけているサボテンの健気なみどりの吐息のような


ディストピア小説ばかり読み耽る 文脈をぬう檸檬の不条理


感情の日持ちがしない 風景がモノクロームにみえる眼球


割りばしでひとつぶひとつぶ憂鬱を拾う一日 いつまで いつまで


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