2021年かばん7月号詠草「不穏の日めくり」
2021年かばん7月号詠草「不穏の日めくり」 風野瑞人
いつの日か終わりが来ると思えずに背中をまるめつづけるソリテア
星々の孤高の距離はどれぐらい 明るい夜の点の少なさ
いつまでも選べない色 まっ白なスケッチブックが黙って責める
あとかたもない存在として生きているひかりの気持ちで街を見つめる
陳列棚に佇むグラス 偽物のクリスタルだから願いを持てない
黒猫に横切られるたび電卓を呼び出している 自分の確率
棄てられた段ボールから読み取れたかつての樹々の恐れていたもの
目の赤い兎が訴えたかったこと 明日もきっと頭痛で目覚める
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