なづきさん_対談写真改

【対談企画】城野伊織×木村なづき

 2014年1月から約一年間、月刊エトランゼ本誌で『痣井紅太郎の妹ミステリー』を連載していた作家・城野伊織(じょうの いおり)氏、イラストを担当していた絵師・木村なづき氏と初対面する――。


編集長:さて、あざいも終わってしまったわけなんですけど……単行本を出したくて!

木 村:今までのまとめ、みたいな感じになるんですか?

城 野:そうなりますね

木 村:それは読みたいですね

城 野:ぜひ(笑)一年間頑張りましたので……

編集長:集大成をぜひ残しておきたいのでね

城 野:誰だよ月刊連載とか言い出したの……俺だ……

編集長:月刊誌を作ろう! なんて言ったから、こんな大変な一年を送ることになってしまいました(笑)

城 野:おかげで単位を取り逃す(笑)

編集長:単位と引き換え(笑)

城 野:なづきさんは演劇学科なんでしたっけ?

木 村:そうですね。劇作です

編集長:じゃあ書いてるんですね!

城 野:すごいなー

編集長:授業とかで?

木 村:そうですね。でも脚本より絵の方を描いてます(笑)

城 野:なづきさんは普段、どこかで絵描いたりなさってるんですか?

木 村:実は漫画を描いていて……

城 野: どこかに投稿したりとか?

木 村:してますね(笑)

編集長:すごい(笑)

城 野:じゃあ漫画家を目指してるんですか!

木 村:ちょいちょい賞をいただいているので、なれたらいいなと思ってます

城 野:ぶっちゃけエトランゼのなかでは、ぴかいちにうまくかわいく描いていただいているので

木 村:はじめキャラクターがかわいいなあと思って、イメージをつくったんですが、作品ごとにぶれぶれになっちゃって

城 野:それはー…作品がぶれぶれだからです(笑)

木 村:確か、はじめのプロットと大分違う話になりましたよね

城 野:キャラクターが変わってしまうのは、仕方ないかなって。それって、キャラクターにとって成長なんじゃないかなと。あーでも正直、今回は変えすぎた(笑) あと、僕の中で膨らんだ物語を、全部(作品に)落とし込めなかったなーってところはありますね

木 村:絵も大分変ってしまって申し訳ないです。その時に影響された絵柄になってしまって

木 村:デジタルで描くのが苦手なんですけど、エトランゼで描いてる他の方のイラストを見て、ああデジタルすごいきれいだなって思って

編集長:普段はアナログがメインなんですか? あそっか、漫画がメインなんですよね

木 村:そうですねー、あんまりデジタルは描く機会がなくて

城 野:これは(1月号の表紙を指して)デジタルにチャレンジという感じだったんですか

編集長:でもカラー絵は毎回デジタルで描いてますよね

木 村:はい、線画を(スキャナーで)取り込んでやってます

城 野:べにいもは、僕のなかでは野心的に、色んな事やってみようという気持ちで書きました。一応「日常ミステリー」ということで、それに合ったキャラを持ってきた感じです。あとはとりあえず、妹が描きたかったので(笑) 彼らはなあ……なんせ(初めに設定をつくったときから)一年経ってるので、初めの方どう思い描いていたのかもうわかんなくて……

編集長:そうか、一番最初のプロットってあれか、船のやつか!

【補足】客船に乗っている兄妹が海上で事件に遭遇する、という内容でした

城 野:そう信じられないよね! 猟奇的な殺人者の話が書きたかったのに、どうしてこうなったのか……可愛い女の子書きたかったんだろうなあー

編集長:だから、なづきさんには船のプロットを選んでもらったわけで

【補足】初刊ドロールは、作家側から出されたプロットを絵師さんに選んでもらいました

城 野:それはまた申し訳ないことをしました

木 村:着物とスウェットをきて、船をブラブラする姿っていいな、と思って選びました

城 野:じゃあ今度そういう話書きます(笑)

城 野:うーん、やっぱり日常ミステリーは難しかった。それが書いてきて出た結論ですね(笑) 普通のミステリーなら、例えば殺人事件が起きたり、人が死ぬだけで物語になるからね。主人公の心の余裕、モチベを作るのが難しかったなあ、という印象でしたねー。その辺劇作的にはどうですか

木 村:劇作は、キャラクターの名前書いて、台詞言うだけなんで、すーっと進みます。台詞だけなので……

木 村:これ(あざいも)は、言葉の運びが好きで

城 野:単行本になったらお持ちいたします(笑) じゃあなづきさん的には序盤の方が好きだったのかな。いや、後半はけっこう(そういうテンポを)変えちゃったので。なんていうか、ミステリには合わないんですよね。ごちゃごちゃーって内容をたくさん投げるじゃないですか。そうすると、ミステリーとしての情報の一本の筋みたいなものがずれちゃって、あとは、ミステリーとしての情報と、キャラクターが会話する上での内容量が2つばーんってあると、ページ数に収まりきらなくて(笑) だから、後半はかなりシンプルになっちゃいましたねー。掛け合いが少し減っちゃって……

木 村: そういえばそうですね!

城 野:その代わり、この一年、少ない文量でどれだけ内容をまとめるか、っていうところは鍛えられましたね。そういう意味ではかなり勉強になりました。

編集長:なづきさんはどんな話書くんですか? 漫画とか劇作とかで

木 村:ギャグとか……

編集長:ギャグ!?

城 野:あんなかわいい絵柄でギャグ……

木 村:ギャグの方がつかみがいいのかなって思い始めて……ギャグでしか入賞できないんですよね

編集長:そうなんだ!(笑)

編集長:いつから絵を描き始めましたか?

木 村:小学生の時からですかね

城 野:僕もはじめは漫画家になりたかったんですよー。でも諦めた。なんか、あんまり絵を描くことが好きじゃないなーってことに中学生の頃気付いて、あもうだめだ、みたいな(笑)

木 村:じゃあそれから文を書くように?

城 野:そうですねー。はじめは、文章を書く方が面倒くさくて、じゃあ漫画だって思ってたんですけど、今度は絵描くのが面倒くさくなって、じゃあ文章だ!って、どっちだよ!みたいな(笑)だから、漫画原作やりたいなーとか……もしかしたら最終的な目標はそこなのかな、と思います。

編集長:ついに一番楽なポジションに…!

城 野:そう、つきたい……!

編集長:編集長とか楽だよ(笑)

城 野:絶対違うだろ(笑)

城 野:なづきさんには、初刊ドロールの時からお世話になってます。そういえば、けみっとってどこから知りました?

木 村:ツイッターで(絵師を)募集してて、それからですね

編集長:リプがとんできて

城 野:そう考えるとすげー人たちつかまったよな

木 村:大学生活の中で、描く機会がないってことでやってみようかなーと

城 野:もっとたくさん俺が書けばよかったですね!!

ここで担当者が現れる

担当者:三十分遅延した

編集長:何か質問を……

担当者:好きなキャラクターは?

木 村:青乃ちゃん……

担当者:まあ青乃ちゃん以外は(キャラが)作りこまれてないからな

城 野:ばれてる……

担当者:青乃ちゃんは扱いやすそうだけど

城 野:扱いにくいよあの子は!

担当者:青乃ちゃんと比べて他のキャラは起伏がなかったよね。まあそれでいいんだけど

城 野:まあ主人公は青乃ちゃんだけみたいな感じだし

担当者:だよね~。青乃ちゃんが書きたくてはじめたんだなーって感じする

城 野:こういう妹が欲しい!

担当者:そうだな(笑)


城野さん、木村さん、ありがとうございました!

単行本は春祭(新入生歓迎行事)にて販売予定です!

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月刊エトランゼ第12刊5月号掲載

企画・編集:松原

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