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002_岡崎乾二郎と対峙する

『視覚のカイソウ』
会場:豊田市美術館
会期:2019年11月23日〜2020年2月24日
来訪日:2020年2月14日
HP:https://www.museum.toyota.aichi.jp/exhibition/okazaki/

実家が愛知でよかったと思うことの一つは豊田市美術館があること。

帰省するたびに行く場所の一つで、間違いなく素晴らしい美術館の一つ。晴れの日も曇天の日も美しい表情を見せてくれる。


岡崎乾二郎は2019年8月に寺田倉庫で小さな展示を見た以来。

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会期:2019年7月9日〜8月24日
会場:Takuro Someya Contemporary Art

知ったきっかけは「ルネサンス 経験の条件」「抽象の力」から。

寺田倉庫での展示で作品を見たときはまだいまいちよくわからなかった。


今回の『視覚のカイソウ』では、「ルネサンス 経験の条件」で出ていた絵画分析がビジュアル化されていることもあって、事前に少し予習をして向かった。

豊田市美術館での岡崎企画は2017年の『抽象の力』以来とのこと。そのときの展示は見れていないので、ここまでの大規模な展示を見るのは初めて。



一連の作品を見て感じたのは、見ているものと想起されるもののズレ、あるいは〈あかさかみつけ〉や〈おかちまち〉で繰り返される"同一の形の上で起こっている別の現象=印象" の中で思考実験をしているということ。

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形態のみを踏襲して変わっていく素材、素材を踏襲して変わっていく着彩。素材、形態、着彩など定数を決めて様々なパラメータを変化させることで起きる現象を観察する眼差しは建築のスタディのそれのように感じた。使われている素材もとても模型的で親近感。


バラバラなものの構造を把握することで実体を超えて浮上する関係性の在り方は、とても建築的。

自身で建築の設計も行うということも非常に興味深かった。


様々な作品を通じて、一定の解釈に留まる一元性に抗い、相容れない個々の要素が多次元的な世界から成り立っているという一貫した岡崎の考えが伺うことができる見応えのあった。

想像力を喚起するような、どこまでもオープンエンドなネットワークの海に投げ出された作品を前にして、首を傾げながら作品に対峙することで様々な”カイソウ”に出会えることができる展覧会でした。

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