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奨学金返還完了を前に思う、学費負担のこと。

私は、大学1〜2年生の2年間と大学院修士課程の2年間の計4年間、日本学生支援機構の奨学金の貸与を受けていました。
貸与額は全期間とも月額5万円で、主に生活費や授業料に充てるお金としていました。
高等教育を終えた時点で、5万円×48ヶ月=240万円の借金を抱えての社会人スタートとなったわけです。

その返還債務が、まもなく終了の見込みです。
学生期間を長めに過ごしたので、社会に出た時点で既に27歳であったわけですが、そこから毎月17,505円を引き落とされてきました。
終活を意識した親からの気まぐれ援助もあり、繰上返還を何度か挟みながら、予定よりも早い完済となりそうです。
なかなか感慨深いところですが、間もなく迎えるこの返還完了の一方で、偶然にもこの4月から再び学生となったことから、完全自腹で新たに授業料を支払う立場になりました。
ちょっとこのタイミングで、高等教育の学費負担に関して振り返ってみたいと思います。

前提として、国立大学の授業料は月額58万円ほどです。
初年時は、ここに28万円程度の入学金が上乗せされます。

高校は県立だったので、教科書や学生服等の必要経費を除いた、あくまで「高校の授業料」は、年額でも数万円程度だったはず。
ここで私が正確な額を知らないのは、「高校の学費は親に支払ってもらうもの」という当時の価値観に起因する関心のなさが理由でしょう。
または、授業料に関する当時の学校からの連絡事項が、あくまで被教育者本人ではなく保護者に対するもの(=プリントを保護者に届けるもの)だったのかもしれません。
いずれにせよ、高校在学時点では在学にかかる授業料に関して自分の関心はほとんどありませんでした。恥ずかしい。。

それが大学進学によって、国立大学であっても、金額の桁が一つ変わるような負担増加となります。
同時に、授業の履修はもちろん、授業料手続きを含めた様々な手続きにおいても、あくまで主体は本人であることが求められる(前提?)ので、授業料振込の手続き等の案内書類も、直接本人の目に触れることとなります。
私は恥ずかしながら、この時点で初めて、大学進学による経済的負担がかなりのインパクトであることを知るのです。

家計収入の全体像についての理解がその時点でほとんどないので、果たしてそれが家で負担可能な規模なのか、一人暮らしも可能なのか、楽観的なイメージしかありませんでした。
今思えば当日の自分の考えの浅はかさに、震えるばかりです。
したがって奨学金制度についても、弱者救済のための例外的な制度という認識しかなく、まさか自分が利用するようなツールであることは想像していませんでした。

これは全員に該当するわけではないと思いますが、感じる傾向として、奨学金を利用するかどうかは、そのまま「高等教育の授業料を、本人負担の学費とするか、保護者負担の教育費のいずれに位置づけるか」ということに言い換えられるように思います。
「①保護者負担の教育費」と解釈すれば、奨学金を活用しないし、
「②本人負担の学費」と解釈すれば、学業と並行して授業料を支払う難易度の高さから、奨学金活用を選ぶのではないでしょうか。

①と②の間には「保護者負担だけど、家計が余裕がないために奨学金で補填する」というハイブリッドな選択(そしておそらく多くがこのパターンでは)がありますが、ここで借りた奨学金返還はいずれ本人の債務となるはずなので、広義の②と解釈しています。

ここで貸与型の奨学金に関する制度的な課題を指摘することはしませんし、最近は学生支援機構でも給付型の奨学金が開始されているようですね。
貸与による奨学金のリスクとして、本人の中退による貧困化(による返還困難)等があるかと思いますが、本稿ではこの点を取り扱うものではありません。

ここで主に言いたいのは、一つ目として、大学進学による学費負担に対する家計の対応可能性について、本人がきちんと理解しておいたほうがいいですよ、ということです。
また、貸与型の奨学金による卒業後の債務は(もちろん就職先による月収にはよるのですが)、決して大きいものではありませんが、しばらくは月間の可処分所得に大きく影響するので、引き落とされるたびに、改めて学費負担を先送りにした(=ローン化した)ことの正しさについて思いを巡らせざるを得ません。

これから大学進学の方々は、必要となる金額規模を自分で計算しながら家計との交渉を図るとよいと思いますし、その後の人生に対する覚悟のようなものにもつながるような気がしました。

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