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タクシードライバーと付き合ってみた2

※事実を基にしたフィクションです。恋愛はお互い意識し始めてから付き合うまで、そして付き合ってからもずっと一番楽しいよな。

金曜日。それはしがらみからの解放。人類が勝ち取った自由。
いつものごとく友人たちと食事を楽しみながら日ごろの鬱憤や日ごろの鬱憤、そして、日ごろの鬱憤などを話していた。

そうこうしているうちに解散の流れとなり、来週の金曜日の再開を固く誓った。

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さて、どうするか。
ここからは一人の時間。
邪魔をする者はだれ一人とていない。

もう一軒、行ってもいいが腹はぱんぱんお酒もそんなに入らない。かといってこのまま帰るのもなんだか寂しい。う~ん、どうしたものか。
今から帰るとして、終電はあるにはあるが、
この最高の気分を満員電車のストレスにかき消されてしまいそうなので今日のところは却下。
じゃあこのままお店で夜を明かすか?
いや、ここはあえてカラオケという手も…。

夜中にしては往来の激しい道路の片隅で一人、
昼ごはんに悩む一介のサラリーマンの如く悩んでいると目の前を通り過ぎていくタクシーに目が留まる。

タクシー…。

タクシーといえば、嘘か本当か知らないが、ブルジョワジーの間では“ちょっとそこまで”の感覚で数千円数万円をひょいと財布から手渡し、レンタサイクルくらい気軽にタクシーを日常で使いこなしている人々がいるらしい。

お酒をたしなむ庶民として、正直に言わせていただくと、タクシーとはそれすなわち“最終手段”である。
お酒を飲んだ、大事な約束に遅れそう、そんな理由があって初めて乗車する覚悟が生まれる高貴な乗り物なのだ。

…ブルジョワジーに、なりたい。

そうと決まればこちとらもうお姫様気分ですよ、
タクシーが馬車に見えてきました。
背筋をしゃんと伸ばして片手を可憐に挙げ優雅にタクシーを止める姿は高貴すぎてビカビカに輝いていたのではなかろうか。
みんな失明してない?大丈夫?

そして乗り込んだタクシーでは元気な挨拶とともにお決まりの質問が投げかけられる。

「どちらまで?」

あー、タクシーって目的地まで運んでくれる乗り物だっけか。タクシーに乗ることがゴールとなっていた私は必死に目的地を考える。
せっかくのお姫様気分、このまま1Kの狭い部屋に帰るのか…?なんかもうちょっと特別なことしたいな、え、でもこんな時間から何をしろと、
え、あー運転手さん困ってるよどうしようなんか、あー、、

『運転手さんのおすすめのお店紹介してください』

あーーーごめーーーーーーーんめちゃくちゃめんどくさい客になってしまったーーーーーーーーーー
だって帰りたくなかったんだもんなんかどっか行きたかったけどこの辺良く分かんないんだもんごめんってばーーーーーーーーーーーーー

自らの発言を悔いながらも正当化するための言い訳を念仏のように脳内で唱えていたら
運転手さんは優しい笑顔でこう答えてくれた。

「かしこまりました、とっておきのお店知ってるのでご紹介します」

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え、優し。
タクシーの運転手ってもっと不愛想なイメージだったけどこんな優しい人もいるんだ。ふーん。

『すみませんいきなり変なこと言っちゃって』

「いえいえ、楽しいご提案ありがとうございます。初めて言われましたけど」

『ですよね~ほんとすみません、、ちなみにどんなお店なんですか?』

「この仕事就く前に働いてた串揚げ屋さんです、もちろんお酒もおいしいですし店員も良い人ばかりですよ」

『なぜ串揚げ屋からタクシーの運転手に…?』

そこからお店につくまでの時間、運転手さんは
もっと丁寧な接客がしたいと思うようになり転職を決意したこと、転職先を探す中で「究極の接客業」を謳う国際自動車に興味を持ったこと、最初は道を覚えるのに苦労したこと、自分の丁寧すぎる性格が活かせる今の仕事は自分に向いていること、などいろいろと教えてくれた。

久しぶりに初対面の人と会話をしたけど、相手のことをどんどん知っていくのが楽しかった。
趣味は何なんだろう、休日はどんな格好をしているんだろう、友だちとはどんな会話をするんだろう、彼女いるのかな、でもモテそうだしな、結婚とか、、してそ~~~~~

「お待たせしました、こちらがオススメのお店です」

『あ、ありがとうございます』

「楽しい金曜日をお過ごしくださいね」

『あの、これは、お礼というか、本当に感謝しているので、全然変な意味じゃないんですけど、社会人としてというか、とりあえず、受け取ってくれたら、うれしいです』

気持ち悪い日本語を言い残し私は運転手さんに名刺を渡した。戸惑う運転手さんをしり目に勢いよくタクシーを降りる。


『何か、すごいことをした気がする…』


果たしてこれは恋なのか、恋じゃないなら何なんだ。この先の展開は皆さんの妄想力にお任せしてみようと思います。


妄想にお付き合いいただきありがとうございました。
この妄想はコチラの記事を参考に書いております。
→https://www.km-recruit.jp/drivers/drivers-career/21747

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