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Slackで作る簡単便利なFAQボット

12年連れ添ったM社の最終出社日を先日終えた。非常に感慨深いものはあるが、今回は前置き土産として、法務のFAQを整えておいた話をする。もともとFAQは社内ポータルにあったんだが、なかなか見られない。大抵の人は、何も見ずに質問に来る。これまではそれでも良かったが、私が抜けることで業務過多になる上司の事を思うと、もう少し使われるFAQを作りたかった。なんて(元)上司思いな私!

結論、Slackの機能を使ったものを作ったのだが、先に要件を整理する。

要件1:アクセスのしやすさ

測定はしていないが、一昔前と比べても社内ポータルへのアクセス数は確実に減っているという実感があった。社内のコミュニケーションツールもメールやらSkypeやらを併用していた時とは違い、今ではほぼSlack一本で間に合うようになった。わざわざポータルサイトにアクセスして、あるかどうかも分からない情報を探すような文化は時代遅れなのだ。

要件2:作成・運用の手軽さ

流行で言うと、AIチャットボットなんかに質問と回答を教え込んでFAQ作ったりする事例も増えていて、私自身、非常に興味があった。しかし、実際に活用しているカスタマーサポートの担当者に話を聞いてみたり、世の中の失敗事例を見たりしていると、やはり作成のコスト運用のむずかしさがありそうだった。余裕ができたら試しに作りたいとずっと思っていたが、余裕なんてものはなかなかできない。仮にしっかり時間を取って作ったとしても、アップデートする時間がとれなければ、できそこないのボットにしかならない。典型的なコスト倒れになってしまう。

要件3:情報の探しやすさ

FAQは、やはり本当によくある質問に絞るべきだ。膨大な情報があると、検索で探しても複数引っかかったりして、どの回答が正しいのか分からなかったりして結局使われない事も想定されるし、作りこみすぎて、情報のアップデートが追い付かなくて古い情報ばかりのゴミ置き場になってしまう事も懸念される。使う人から見て、一目で探したい情報の有無が分からないレベルだと、まず使われない。

Slackのボット機能

結論、Slackを使った。下のリンクで言うところのカスタムレスポンスだ。この機能は本当にシンプルなもので、特定の単語をチャンネルか自分宛てに打つと、自動で決められたレスポンスを返すというものだ。

最初は、これで作りこもうかと思った。「契約書」と入力したら、契約関連のFAQが出たり、「捺印」と入力したら捺印フローの説明を出したりするパターン。これだと、回答にたどり着くために入力するキーワードを説明するテキスト(回答)を挟む必要が出てくる。利用者は、必要な回答にたどり着くために「法務」⇒「契約」⇒「ひな形」みたいな入力作業を強いられる。更には、一個ずつ回答をボットに入れていかないといけないので、作る方も手間で、変更するたびにSlackbotのページにアクセスしなくてはならない。これでは、上記の要件を満たせない。

どうにかして、簡単に作る方法がないかと考えた結果、作ったのがこれ。

作り方は簡単

①FAQ一覧を厳選して作る。
②Slackのオープンチャンネルで投稿する。この時、インラインコード(```で挟むやつ)にするとシュッとした感じになる。
③以下のように「法務」に対するカスタムレスポンスを②のメッセージのURLに指定する

これで出来上がりです。これで法務と打つだけで、サクッとFAQが出せます。メンテナンスもメッセージの編集するだけで良いので超簡単。

実際にFAQに入れたのは以下のような内容。

■契約書の確認・作成依頼方法
 -契約書の雛形置き場
■稟議申請について
■捺印申請について
 -電子契約での契約締結方法について
■事業に関する法律相談をしたい
■個人に業務委託したい
■ストックオプションの行使方法
■持株会入退会について
■ドメインを取得したい
■インシデント時のエスレーションフロー
■コンプライアンス違反等を通報・報告したい

効果は?

自分の中では結構な発明だと思ってるんだが、作ってすぐに退職しちゃったので、活用されているかは分からない。引き継ぎは、投稿済みの内容を引き継ぎ先の人に投稿しなおさせて、③のリンク先を変更するだけ。

複数の担当者で頻繁にFAQ変更する場合は向いてなさそうだが、皆で更新すると訳わからなくなっちゃうので、結局のところ更新担当者は一人に決めておいたほうが無難。

これがあれば、自分で探すときにも便利だし、質問されたときにも誘導しやすい。あちこちに散らばった資料を簡単にまとめられるというだけでも意義があると思っている。

本音ではもっとハイテクなボットを作りたいんだけどね!

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