映画『ノイズ』感想をつらつらと。※ネタバレ有

私はサイコパスだったり苦しみ叫ぶ藤原竜也が好きなんですが(?)
藤原竜也を好きになったキッカケの作品、映画『デスノート』以来の松山ケンイチとの共演、さらに神木隆之介もいるではないか。サスペンスだしこれは面白いだろう。ってことで映画『ノイズ』観てきました。
なんともモヤモヤの残る気持ち悪い作品でした。(たぶん褒めてる)

▼渡辺大知の気持ち悪さ!

女児強姦殺人事件の犯人・小御坂であると後に明かされるのだが、いきなり後部座席から人殺すし、歩き方の怪しさ、いちごミルクの飲み方の気持ち悪さったらもうコイツなんかやらかすだろ!という異様さが伝わってくる演技がすごかった。
圭太の娘に目をつけて、圭太に問い詰められても全く悪びれてないとことかマジでヤバい奴。殺られて良かったのでは?とも思わせてくる。
そもそも保護司の鈴木を殺した意味って何?!

▼タイトルの出し方

思わぬ事故で小御坂を殺してしまい、「全て無かったことにしましょう」というヤバい話をしてるのに、普通は焦っているキャストの顔をアップで見せてくるところを、反対にどんどんとカメラは引いていく。太陽の照る明るい時間帯、ビニールハウスとのどかな風景が浮かぶ。中央では隠蔽に大きく頷く圭太(藤原竜也)。この対比。からのピタッと止まったあのサイズ感といい、ビニールハウスにスッと浮かぶタイトルの文字。あの画作り、めちゃくちゃ好きだった。

▼娘の絵日記の意味とは?

映画冒頭、娘が絵日記を読む声で始まる。圭太が逮捕され刑務所で面会に来た妻(黒木華)は、娘の絵日記を夫に見せながら朗読する。手錠をつけて廊下を歩く圭太は、娘の絵日記を口ずさみながら泣く。
劇中で娘の絵日記を3回朗読させている。この演出の意味が観終わった直後に分からなかった。3回もいるのかな?妻がわざわざ面会中に見せる意味はなんだろう?
原作を調べたり他の方の考察なんかも見させていただいて、
「色んな大人達の黒い感情(ノイズ)で溢れる中、唯一救いとなったのが子供の純粋な心だった」という記述があったので、それを印象付けたかったのかなぁという考えで一旦納得。ただ原作とオチが違うので、原作の方がその演出は腑に落ちる感じがしたのでちょっとモヤモヤ。

▼松ケンも負けず劣らず気持ち悪い

圭太の妻・加奈に子供の頃から想いを寄せていた純(松山ケンイチ)。いつも加奈のヒーロー的な位置を圭太に取られ、ついに結婚して子供もいて、幸せを全て取られた恨みを持ったままずっと親友として接してたのかぁ〜と思うと何とも苦しい。刑務所で圭太に娘の絵日記を見せるシーンで初めて娘の描いた絵が見られるわけだが、そこにも家族3人と純の姿もあって、いつも近くにいたのに、近くにいたからこそ辛かったんだろうなぁ。
ただ純の部屋に加奈の写真が大量に貼ってあって想いの強さがヤバい。ストーカーとかの部屋ってよく大量の写真で埋め尽くされてるってシーン多いけど、本当に気持ち悪いね(笑)いつ撮ってんのあんなの。スマホがある時代にわざわざ現像して貼ってるんだぜ。(演出上だろうけど)
あの気持ち悪さは松ケンのちょっと陰な雰囲気がとっても合ってた。
加奈に「ずっと圭太のこと待ってる」って宣言されちゃって、復讐とかしても幸せになれないんだよね結局。切ない。

▼純が圭太に罪をなすりつける計画はいつから?

圭太に劣等感を感じていた純は、きっといつか何らかの形で復讐なりを考えていたのかもなと思う。
今回この殺人をなすりつける計画はどのタイミングで思いついたのだろう?
読み取れなかったのは、犯人の履歴書をイチジク無人販売所から見つけ出したタイミング。あれは殺人を犯す前?後?
小御坂に初めて会ったのは無人販売所で、あの後すぐに追いかけずに圭太と純は別の道を走っていくし、小御坂を殺してしまったのは同日で明るい時間帯。純が履歴書を見つけたときはもう少し日が暮れてたように見えたから、殺人を隠蔽しようと決めてから、この履歴書使えるぞ、ってなったのかな?てか履歴書入れるならなんで初めて会った時に話さないのさ小御坂。(笑)

▼青木刑事の立ち位置とは?

ベテランで推理力抜群の畠山刑事は荒くれ者だけど多分良い奴。(笑)
ところで助手みたいにくっついてる青木刑事だけど、原作では男性なんですってね。なんか色んな作品で実写化する時に女性キャラに変更する事って多いけど何でなの?絵面的に華を持たせるため?
女性にするんだったら、女性特有の繊細さや勘で手助けするとか、荒くれ畠山を抑えるとか、なんかそういう使い方があるのかと思ったけど、指紋つけないように手袋もしないズボラさだったり、推理力があるわけでもないし、感情的になって銃向けて話題にされちゃうし、ただくっついてるだけならもっと的外れな事言うお馬鹿な奴とかの方が面白かったな(笑)

▼町長の性格の悪さに気付いていた?

町長の庄司も原作から性別が変えられてるみたいですね。あのババア(笑)の悪巧み感は確かにおばさんっていうので合ってた気もする。
呆けてる老人として扱われてる庄吉さんが町長に3人が死体を隠してると教えてしまうわけだけども、なんでわざわざ町長に教えたのか?3人に自首させるためかと思ったけど、町長が本性を現した瞬間、町長を殺しにかかってるから、町長の本性を知っていてそれを表に出させるためだった?

▼島民の仲間意識の不気味さ

島の復興を願う島民のみんな。それを実現するには、圭太のイチジク農園にかかっている。圭太をヒーローだと讃える島民だが、全ての責任を負わせているようにしか見えない。
島内で殺人が起きても特に気にする素振りもない、それを捜査しに来た警察達にもよそ者扱いで追い出そうとする。島の外から来たもの邪魔者は全て排除して、島の復興にしか頭がいかない狭いコミュニティならではの仲間意識がどうにも不気味だった。
心優しい守屋(神木隆之介)も大好きな島で人々が暮らしやすいようにカサブタになろうと考えただろうし、ヒーローであり誰にでも優しい圭太も島の復興を担っているプレッシャーと愛する家族の幸せのために殺人の隠蔽に頷いただろうし、みんな島と、島に住み続ける自分自身を守るための黒い感情による判断が大きな亀裂に繋がってしまったんだな。



疑問も色々残ったけど、
バレるかバレないかのドキドキとか、
人間の悪い感情で溢れた世界とか、
最初から最後までずーーっとしんどかった。
とりあえず自分を守るためだけの嘘はつかない方がいいと思った。

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