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何故このタイミングで?


ダメだ、どうしても読み進めない。

毎晩のルーチンワークとして県立図書館のWebサイト内の新着図書案内をチェックしている。トップページから新着図書案内のバナーをクリックする。図書館の資料の分類法である日本十進分類法(NDC)の分類番号000の総記から999の諸外国の文学までに加えて、えほん・かみしばい、ちしきのほん、よみもの、郷土資料、視聴覚資料という26種類のチェックボックスが並ぶ選択ページが表示される。913日本の小説と914日本の文学を選択する。
一つの資料につき、番号、区分、タイトル、著者名、出版社、出版年、シリーズ名、分類、請求記号の各項目が横方向に表示される。
この内容が縦方向に20冊分並ぶ。多い時には12~3ページ、250冊くらいから少なくても2~3ページ50冊くらい出てくる。出版年ではなくその本が図書館の入館した日を基準として40日分がピックアップされるようだ。

図書館の貸し出しは予約優先だ。予約者が居なくなって始めて書架に並ぶ。そのため人気の書籍が書架に並ぶのは出版され、図書館に入館してから数年後となることも珍しくない。とくに話題になった作品や賞をとった作品は予約が集中する。そんな仕組みに気づいたのは図書館でボランティア活動を始めてからだ。週一回、2時間ほど利用者から返却された本を書架の元の場所に戻す作業をしている。書架の元の場所、ならんでいる本は前述の日本十進分類法(NDC)の順にならんでいる。例えば日本の小説は913.6というNDCの分類番号になる。同じ分類番号913.6以下は著者のあいうえお、出版年という順になる。この作業は本の背表紙とそこに貼られたラベルを見ながら行う。

内田康夫、三浦しをん、住野よるそんな大好きな作家さんの新刊の発売を新聞やネットの広告で目にする。「早く読みたいな」そう思ってもいつまでたっても書架に並ばない。

返却された本は貸し出しカウンターン内の決まったところに置かれる。そこからカートに載せたり、数冊を抱えたりして書架に運んでいく。ある日、貸し出しカウンター内で返却された本をカートに載せていると一人の利用者の「予約の本お願いします」という声が聞こえた。「予約の本」帰宅してから図書館のホームページを見て予約できることを知った。

この日から毎晩、新着図書案内をチェックをするようになった。一日数十分のルーチンワークだ。これを始めてから比較的早いタイミング、概ね20番以内くらいで借りられるようになった。

ルールでは貸出期間は2週間、予約の取り置きは1週間。予約の取り置きとは、本の返却から貸し出しまでの期間だ。返却された図書に予約が入っていると、図書館の担当が電話やEメールなどそれぞれが指定した方法で予約者に連絡をする。その翌日が1日目で7日目まで図書館に置いておく。この間に連絡を受けた予約者が借りに来ない場合は次の順番の予約者に権利が移動する。最長、最悪を考えると予約番号10番だと27週、7ヶ月待たなければならないという事だ。

2022年上半期の直木賞受賞作、窪美澄の「夜に星を放つ」、同年の芥川賞受賞作、高瀬隼子の「おいしいごはんが食べられますように」、2023年5月31日出版の三浦しをんの新作「墨のゆらめき」、2023年の12月になって予約したこの3冊の貸し出し可能の連絡が1週間おきにやってきた。週に1冊づつ読み切る、好きな作家はいるけど、読書が大好きというわけではない。
月に一冊程度読むくらいがちょうど良いと思っている。この状況は厳しい。
睡眠時間を削ってせっせと読んだ。そこに新たな貸し出し可能の連絡が届いた。2023年の本屋大賞受賞作、凪良ゆうの「汝、星のごとく」だ。

2004年から始まった本屋大賞、受賞作は書店の店員さんの投票で選ばれる。
第一回は小川洋子の「博士の愛した数式」。299人の書店員がエントリーし191人が一次投票、93人が二次投票して選ばれた作品だ。大賞以外にも2位から10位9冊が発表となる。
この賞を意識し始めたのはボランティア活動を始めてからだ。2011年の大賞受賞作は東川篤哉の「謎解きはディナーのあとで」これ以降三浦しをん「舟を編む」、百田尚樹「海賊とよばれた男」和田竜「村上海賊の娘」、
上橋菜穂子「鹿の王」、宮下奈都「羊と鋼の森」、恩田陸「蜜蜂と遠雷」、辻村深月「かがみの狐城」、瀬尾まいこ「そして、バトンは渡された」、町田その子「52ヘルツのクジラたち」、逢坂冬馬「同志少女よ、敵を撃て」と読んだ。唯一読んでないのが2020年の凪良ゆう「流浪の月」だ。何故読まなかったのかは記憶にない。

そしてその凪良ゆうが二度目の受賞を果たした。「汝、星のごとく」
2023年の受賞作なので発表は4月12日だった。その日のうちに予約した。
8か月後、ようやく借りる順番が来た。12月の下旬だった。ようやく手にした一冊。されどタイミングが悪かった。週1冊のペースで3冊を読み終えた時だった。「読書疲れ」という言葉があればまさにそんな状態だった。
本を読む以外の日常、パズルを解いたり、ジムに行って身体を動かしたり、正月明けの旅行の計画も滞っている。せめて後1週間遅ければ。そうなれば年末年始の図書館の休館日にあたる。2023年から2024年にかけての7日間、
貸出期間の2週間にはカウントされない。実質3週間の期間が確保でる。

それでも予約した本、読み始めた。物語が佳境に入りそうな、二人がファーストキスをし、結ばれるあたりまでは読んだ。しかし冒頭のフレーズの如く、読み終わらないうちに2週間の返却期限が来てしまった。

めぐり合わせ。前回の2020年の時も同じような状況だったんだろう。なんだか凪良ゆうとはタイミングが合わないようだ。せっかく機会を不意にしてしまった。もちろん再度予約を入れた。順番は55番目だった。3年後くらいにならないと読めないようだ。

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