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『藁にもすがる獣たち』ロケーションについて

絶賛公開中の映画『藁にもすがる獣たち』にて監督を務めたキム・ヨンフンは、生き残るために歯をむき出しにする登場人物たちを描いた本作の舞台として港町を選んだ。港は不法出入国を容易く行える場所であり、この映画の舞台として理想的なロケーションだった。さらに、夜の歓楽街のネオンの光と人々が居住する乾いた場所が共存する場所でもある。これらの要素をバランスよく兼ね備えた理想の都市として、製作陣は2ヶ月もの月日をかけて平沢(ピョンテク)市を探しだした。

キム・ヨンフン監督はインタビューにて「韓国にはたくさんの港町があります。群山、仁川、釜山もありますが、これまで様々な作品の舞台として使われているので異なる場所を探してみようと思い立ち、そこで平沢を舞台に本作を撮ることになりました。平沢には米軍基地もあり、大きな港があるにもかかわらず、周辺に田畑もあり、歓楽街もあり、様々な姿を備えた都市でした。そのため多様なキャラクターが登場する本作の舞台として最適なのでは思いました。」とロケーションについて振り返っている。

そして、チョン・ウソン演じるテヨンの職業は港で働く出入国審査官で、彼の采配ひとつで不法出入国をさせるだけの権力がある。本来の原作でのテヨンの職業は刑事だったが、脚本を書く際にキム・ヨンフン監督は刑事は非凡な職業なのではないかと悩んだ末、より一層小市民らしさを生み出すために、職業を出入国審査官に変更したと語っている。

映画『藁にもすがる獣たち』はシネマート新宿ほか絶賛公開中

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【あらすじ】
失踪した恋人が残した多額の借金を抱えて金融業者からの取り立てに追われるテヨン、暗い過去を精算して新たな人生を歩もうとするヨンヒ、事業に失敗してアルバイトで必死に生計を立てているジュンマン、借金のために家庭が崩壊したミラン。ある日、ジュンマンが勤め先のロッカーの中に忘れ物のバッグを発見する。その中には10億ウォンもの大金が入っていた。地獄から抜け出すために藁にもすがりたい、欲望に駆られた獣たちの運命は――。果たして最後に笑うのは誰だ!?

出演:チョン・ドヨン、チョン・ウソン、ペ・ソンウ、チョン・マンシク、チン・ギョン、シン・ヒョンビン、チョン・ガラム、ユン・ヨジョン
原作:曽根圭介「藁にもすがる獣たち」(講談社文庫)
監督・脚本:キム・ヨンフン
製作:チャン・ウォンソク『悪人伝』『犯罪都市』
撮影:キム・テソン『神弓-KAMIYUMI-』
編集:ハン・ミヨン
音楽:カン・ネネ
2020年/韓国/カラー/シネマスコープ/5.1ch/109分/韓国語/レイティング:G/原題:지푸라기라도 잡고 싶은 짐승들/英題:BEASTS CLAWING AT STRAWS/日本語字幕:福留友子/配給:クロックワークス


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