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北米アニメ研究所#1後編|カナダ在住アニメファンはどこでグッズを購入してる?

本社を香港に構えながら、開発はカナダ、デザインはロンドン等、世界中のネットワークを使ってサービスの展開を行なうベンチャー企業、KLKTN(コレクション)。そんなKLKTNが発信する本noteは「北米アニメ研究所」と題し、グローバル市場での事業展開の中で築いたネットワークを生かして得た知見をもとに、北米に住むアニメファンの実態に迫るインタビューシリーズを展開します。これまで把握が難しかった海外のアニメファンの実態を、「統計情報」ではなく「エピソード」を交えてお伝えすることで、是非多くの国内のアニメ業界関係者の皆様には、グローバル市場における「日本のアニメ」の新たな価値を掘り起こし、新サービス・プロダクトを検討するきっかけを作っていただければと考えています。

前回前々回に続き、今回もカナダの名門大学・ブリティッシュコロンビア大学(UBC)にあるアニ研(アニメクラブ)に所属する3人にお話を伺いました。

Source https://www.flickr.com/photos/85424459@N08/7835821172 Author CjayD

 【前回に引き続き、取材に回答してくれた3名】

アンドレ
ブリティッシュコロンビア大学2年生
好きなアニメ:『ブラックラグーン』『暗殺教室』『86―エイティシックス―』など

NR
ブリティッシュコロンビア大学3年生
好きなアニメ:『サイコパス』『コードギアス』『男子高校生の日常』など

マシュー 
ブリティッシュコロンビア大学2年生
好きなアニメ:『サイバーパンク:エッジランナーズ』『HELLSING (ヘルシング)』『Angel Beats! (エンジェルビーツ)』など

 お気に入りのキャラクターはいる?

マシュー:煉獄 杏寿郎(れんごく きょうじゅろう)が好きだな!『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』を見て、感動しちゃったよ!大胆不敵で圧倒的に強いけど、それだけじゃなく、人情味もあってかっこいいんだ。ほかには、 Vチューバー(※バーチャルYouTuberの略)の一伊那尓栖(にのまえ いなにす)も好きだよ。

マシューの部屋の壁一面に貼られた一伊那尓栖のポスター。

アンドレ:僕には好きなタイプがいくつかあって、ひとつは、すっごい力持ちであんまり真面目に考え過ぎないタイプ。例えば『呪術廻戦』の五条悟とか、『ワンパンマン』のサイタマみたいなタイプだね。
もうひとつはちょっとクレイジーなんだけど、クールで自信たっぷりなキャラ。例えば『ブラックラグーン』に出てくるレヴィとか『サイバーパンク:エッジランナーズ』のレベッカとか! あとはちょっとバカっぽくて面白いキャラも好き。『呪術廻戦』の虎杖悠仁なんて、すごいいい人だけどあんまり頭はよくないよね(笑)

NR:私は、あえていうなら『ゆるキャン』の各務原なでしこあたりがお気に入りかな。『ガイコツ書店員本田さん』の本田さんも、なんか可愛くて好き。あとは、初音ミク(以下、ミク)がとにかく大好き!!

マシュー:ミクのコンサートは話題になったよね!センターステージはただのスクリーンで見せるんじゃなくって、3Dプロジェクションになっていて…。360度どこから見ても立体的で、僕のまわりもそのことで盛り上がっていたよ。僕自身はそこまでファンってわけでもないけど、あの時のことはよく覚えてる。

アンドレ:コンサートも普通の概念を超えて、いろんなことができるようになっているよね!特にミクのはすごい。僕自身はそこまでVチューバーにははまってないけど、がうる・ぐらあたりは好きで見てるよ。彼女はおもしろい!特にGTAのゲーム※をするシリーズとかは笑えるな!

※グランド・セフト・オートシリーズの略。ロックスター・ゲームスが制作・販売しているアメリカ合衆国のクライムアクションゲームシリーズ。

『美少女戦士セーラームーン』も、根強い人気。コスプレを楽しむ研究会のメンバー。

コスプレはする?

NR:うん。私のコスプレは、もちろんミクだよ!

アンドレ:僕は、Vチューバ―のがうる・ぐらと『龍が如く0』の真島 吾朗(まじま ごろう)のコスプレをしたことがあるかな。あと今、『サイバーパンク:エッジランナーズ』のアダム・スマッシャーか『チェンソーマン』のポチタどちらかのコスチュームを、今度参加予定のエキスポ※にむけて作りたいって思ってる。制作にどれだけ時間を割けるか考えてキャラを決めようと思ってるよ。

マシュー:コスプレをすることの楽しさは、なんといってもコミュニティとのコミュニケーションが深まるところにあるよね。コメントをもらったりとか、写真を撮られたりとか。

NR:そうそう!知らない人から「写真撮らせて」って話しかけてもらえると、すごく嬉しくなる!あの時の気分って、本当に最高!

アンドレ:苦労して作ったものを同じ熱量で評価してくれる人がいるってすごいし、そういう人とすぐにつながれるのは、コスプレの何よりもいいところだよね。

※エキスポ:FAN EXPO Vancouver2023のこと。潜入記事はこちらから。

初音ミクのコスプレを楽しむNR。声をかけられたり写真を撮られたりするのは、コスプレの醍醐味でもある。

キャラにこだわってグッズを買ったりもするの?

NR:もちろん!むしろ私のコレクションのほとんどは、ミクだよ!

アンドレ:(NRの部屋にあるコレクションを見て感動した様子で)おー!ルルーシュもいる!!

マシュー:(『ゆるキャン』の)志摩リンのポスターもあるじゃん!

NR:そうなの。この部屋には、ほかにも『サイコパス』のポスターとかも飾ってる。あとは『ゆるキャン』のものもちらほらあるかな。

初音ミクのグッズを中心としたコレクションが所狭しと並ぶNRの部屋。

NR:ふわふわぬいぐるみのシリーズも大好き。ほとんどタイトー社のものよ。(どでかクッションを抱きしめながら)このどでかジャンボふわふわぬいぐるみは、特大のサイズ感がすっごく気に入ってる!

アンドレ:それ、僕も持ってる!僕はアニメクラブの部室に置いてるよ。

NR:こっちにある『かぐや様は告らせたい』の藤原千花のクッションは、実は弟の手作りなんだ!布を切って縫い合わせて、作ってくれたよ。ほかにも本当はもっといろいろ持ってるんだけど、カナダに引っ越してくる時に、それまで住んでたマレーシアに置いてきちゃったんだよね。今回見せられなくて残念!
そのほかに今ここに置いているのは、こういう細々したフィギュアやぬいぐるみかな。トトロのフィギュアもあるよ。この黄色いミクは「ぬーどるストッパーフィギュア」シリーズ(※カップ麺の蓋を抑えることができるフィギュアシリーズ。さまざまなポーズのものがある)のチャイナバージョンなんだけど、これまたすごくお気に入り!
あと、真ん中にあるキーボードを抱えたミクは、友達が日本で買ってきてくれたの!棚の上段にあるMyethos(ミートス)のチャイナスタイルShaohuaバージョンのミクのフィギュアも、格別に好きなやつ。すっごくキレイでしょ!たまたまマレーシアの公式セラーから買えて、ラッキーだった。
そのとなりのルルーシュも友達からのプレゼントなの!1/7~1/8スケール(サイズのこと)くらいあると思うんだけど、もらった時は嬉し過ぎてびっくりしちゃった!この棚の中には、そのほかにもマレーシアのセラーから買ったものが結構あるかな。
(となりの棚に移って)こっちのミクの痛バックは中国から買ったもの。(質問者の問いかけに応えて、バッグを持ち上げ裏側を見せながら)うんそう、バックパックになってるの!床に置いてあるのは日本のランドセルで、毎日バッグとして使ってる!
このほかにも、本当は漫画のコレクションもあるんだけど、ほとんどはマレーシアに置いてきちゃった。

マシュー:僕が好きなのは、一伊那尓栖のグッズ。中でも一番のお気に入りを選ぶとしたら、2021年の誕生日記念で出た「黒星紅白先生描き下ろし たこダ。」のパーカー。種類の違ういろんなタコが描き下ろされてるんだ。値段ははっきりとは覚えてないけど、送料別で4~5千円くらいだったと思うよ。

マシューお気に入りの一伊那尓栖誕生日記念グッズのパーカー。研究会のイベントでも着用していた。

アンドレ:僕が今日着てるのも、『サイバーパンク』のTシャツだよ!

アンドレが取材当日に着ていた『サイバーパンク』のロンT。

カナダでは、どうやってグッズを入手してる&いくらつかった?

NR:AF HOBBY」などのオンラインショップで買うことが多い。さっき見せたバッグは中国から取り寄せたよ。中国はミクのグッズをたくさん作ってるから。ちなみに去年1年でアニメグッズに使った金額は記録してないから分からないけど、1,000カナダドル(※2023年3月時点の為替で、日本円で10万円程度)は超えてはいないはず。本当に欲しいものだけを買うようにしてるよ。

マシュー:僕はカナダドルで1,200ドルくらい(日本円で12万円程度)使ったと思う…。グッズは香港に帰る機会があれば、「サイノセンター(信和中心)(※香港の秋葉原ともいわれるショッピングセンタービル)」に行って買うようにしてる。去年も帰国した時に買い物をしたよ。アジアで買う方がずっと安いからね。それかオンラインなら「淘宝(タオバオ)」みたいな中国のECサイトで買うことも。
ほとんどの場合は香港に行って現地で買うか、オンラインショッピングの国際配達サービスを使うかだから、カナダ国内で買い物をすることはほとんどないんだ。

マシューの部屋の壁に飾られたコレクションの一部。

NR:私のまわりのアニメファンを見ても、カナダ国内でグッズを買ってる人はほとんどいないように思うな。アジアの方が断然安いから、自分や友だちがアジアに旅行するタイミングを狙って待つの。それかやっぱり、海外のオンラインショップを見に行くよね。

アンドレ:僕もマシューにお願いして買ってきてもらったことがあるよ!

マシュー:『原神』の北斗(ほくと)を買ったんだよね。

アンドレ:そうそう!すごく気に入ってる!僕のコレクションの中でもトップクラスで高価なアイテムだよ。北斗のグッズは結構集めてるんだ。
僕の場合もオンラインで買うことが多いけど、直営店かどうかとかにはそこまでこだわってない。
バンクーバー国内だと、「桜メディア」みたいな小さな商店で購入することもある。ほかの国でもちょこちょこ買うし、今年イギリスに帰った時も結構買ったかな。ちなみにイギリスでは、ロンドンのカムデン・ロック・マーケット(Camden Lock Market)にアニメストアが結構あっておすすめ!

アンドレの集めている北斗コレクション。

マシュー:国内での買い物についてだけど、僕はバンクーバーで開催される「アニレボ(Anime Revolution)」みたいな大きなイベント会場で買い物をすることはあるよ!もしカナダ国内で何か買うのなら、なるべくアーティスト自身にもきちんとロイヤリティがいくような買い方をしたいなって思ってるんだ。だからオンラインの場合も、安いところだけでなく、公式サイトでも買うようにしてるよ。 

北米アニメ研究所初回のインタビューは、UBCアニメクラブのみなさんにご協力いただきました。これまで3回に渡ってシリーズでお届けしましたが、いかがでしたでしょうか。普段はなかなか聞けないような北米アニメファンからのリアルな現地情報が聞けて、インタビューの現場もとても盛り上がりました。

次回は本シリーズの番外編として、UBCアニメクラブのDiscordチャンネルのモデレーターをしているChokie(チョッキー)さんへのインタビューをお届け予定です。3月中旬の公開をお待ちください。

今後も更新情報をお知らせするので、KLKTNのTwitterや、noteのお気に入り登録をお願いします。また、KLKTNでは、アニメファンがお気に入りのアイテムをデジタルで共有・収集できる新しいアニメキュレーションプラットフォーム「weebox(ウィーボックス)」のリリースを予定しています。「weebox」に興味があるアニメ関係者の方や、「北米のアニメファンの実態をもっと知りたい!という方は、以下のフォームからご連絡ください。


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