現代居合道の問題

私は居合道という武道を20年ほどやっておりました。この度目出度く卒業することとなりました。理由は以下の通りです。

【人の格差】
居合道は老若男女問わずできる武道と謳っているが、学生から入った人や、昔から剣道をやっている人には勝てない。運動神経や才能の問題もこれに付随する。

【道場の格差】
・道場による格差が大きすぎる。入った道場によって全日本大会で勝てるかどうかが決まってしまう。
・全日本居合道大会で勝てる人=昇段できる人=八段になれる人=先生として重鎮として重宝される人。全日本居合道大会で勝てない人は功績を上げることはできないし、有名にもなれないし、先生となって活躍することもできない。それゆえ、弱小道場に入ってしまったり、強い道場で全日本大会で評価されないような居合をやっている道場に入ってしまえば、この道で活躍するようなキャリアは難しく、居合道を辞めざるを得ない。
・道場を移ることがほぼ不可能である。「武道だから」という理由でその道場の教えを守ることを第一とする風潮が強い。

【居合道に対する考え方の格差】
・相対動作をするわけではないので、実際の戦闘との乖離が大きすぎる。アドリブゼロ。フィギュアスケートのようなもの。剣道で言うなら素振りと型稽古しかできない状態。それゆえ玉虫色の判断基準が存在する。全日本大会ですら、勝利基準が曖昧な試合判定が多い。
・古流(昔からある武道としての居合型)と、制定(全剣連が定めた12本の居合型)の考え方が違いすぎる。古流は敵と戦うことを念頭に置いて稽古を行うため、形の綺麗さよりも相対動作としての完成度を重視する。しかし制定居合は「何よりも形が正確であること」が重視されるため、本来の武道的意義からかけ離れ、型の形骸化が大きすぎる。

長文駄文失礼いたしました。否定的な内容とはなってしまいましたが、私は居合道を修めていたことに関しては後悔しておりません。やっていてよかったと心から思っています。辞めるのは、私に才能がないことと、環境による格差が大きく、これ以上続けていく未来が想像できなくなったためです。お世話になった方々には厚く御礼申し上げます。

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