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ヒトを救えるのは、やっぱりヒトだ

フルームでのインターンを終えました。
実はお世話になったのはたった2週間です。留学とは思えない短い期間でしたが、「日本の地域にも活かせる健康のまちつくりの方法を学ぶ」僕の目標的には、他にも色々な地域と比べたかったのでこれが限界でした。

この記事を温めている間に、他の施設も見学してきましたが、やはりフルームが僕の中では1番しっくりきて理想にしたいと思えました。

僕がイギリスで何を学んできたか、フルームの何がすごいのかを紹介できればと思います。

※「その前にフルームってどこだよ?」って方はこちらの記事を読んでください。イングランド南西部のステキな田舎町です。


ちょっとストーリー風に紹介していきます。

1、フルームの取り組み

ロンドンから2時間ほど離れた片田舎の町。そこでは地域の病院で家庭医の先生たちが町の人達と仲良く診察をしています。
でも、長年の付き合いの中では単に病気のことだけでなく家族のこと、進学や就職・転職の悩み、リタイア後の生活まで様々な話も聞くことになります。

町に住む人達の人生と向き合う中で「その人の社会生活が健康にも影響している?」ということに気づいた先生は、町の中の様々なサポートグループ、チャリティー団体の情報を集めては渡すようになりました。でも限られた診察時間では話を満足に聞く事もできません。「この人の病気を治すだけじゃなくて、病気なりやすい環境も変えてあげたい!」そこで地元紙に広告を出したのでした。

「病気になりやすい人を作ってしまう社会を、一緒に変えませんか?」

こうして集まった仲間達と、手探りで始まった「環境を変える」というヘルスケア。スタッフは町中のグループ、団体、イベントの情報を集めて、情報が欲しいという患者さんの相談にのってサポートを続けました。
その人が笑顔になるまで。

でもここは小さな片田舎。
グループやサポートが十分にある訳ではありません。「こんなグループが欲しいな」と言う町の人の呟きを聞いては、新聞やラジオで呼びかけました。こうしてお年寄りのダンスクラブや希少疾患のグループまで一緒に作り上げました。
次第に基金や行政の助けももらい、気がつけば診療所からまちが変わっていったのです。



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2、社会的処方のモデルに

これらの活動には「社会的処方(social prescribing)」と言う名前がついています。特に、社会生活の中でタバコと同じくらい健康に影響を与えているのが孤立なんです(注1)。孤立によって生活が荒れ、生きがいを失い、誰にも気にかけてもらえないまま弱っていく。。。この問題、どこかで聞いたことありませんか?

そう、日本でも孤独死が問題になっているように孤立は現代社会の深刻な問題なんです。

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イギリスではこの孤独問題と社会的処方の重要性に気づき、去年度から政府が推進活動を行っています。フルームはその先進事例の1つとして注目を集め、英国だけでなく世界中から視察が来るようになりました。


3、結局何をしているの?

フルームの取組みをまとめると、
「地域のニーズに気づいた診療所が社会的処方を始めて、足りないものまで作っていたらまちづくりに繋がった」
って感じでしょうか。

その結果として、町の中で同じ病気を持つ人のグループや、みんなの居場所になれるtalking cafe(参加自由で来たい人が集まり、ただおしゃべりをする場)などが開かれています。

その中で僕は何をしたかと言うと、これらの活動をしつつ地域の人達にアンケート調査を行いました。さらに健康で幸せ(well-being)になるためには、あなたにとって何が大切ですか?この町にさらに何が必要ですか?といった質問を用意しました。病院や町中の人に話しかけて多くの人が協力してくれました。120人以上の意見を集まりその後も回答回収を続けて、11月末のまちづくり会議で議論の中心として取り上げてもらいました。

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この後も長くなりそうので今回はここまでにします。
次の記事でなぜフルームがここまで上手くいったのか、何が強みなのか僕なりに分かった事を紹介します!


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