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アート思考とデザイン思考

私は本業とは別に、平日のアフターファイブにビジネス書の読書会を開催しています。今週、特に参加者が多く、その後も反響が特に多かったのがアート思考に関するものでした。アート思考にニーズがある理由について考えてみると以下の通りです。

■ニーズがある背景

・論理的・理性的な情報処理スキルだけでは追い付かない
  コンピューター技術により、論理的な正解であれば、一昔前であれば難解なものでされ、誰でも正解を出しやすくなってきた。特に最近はRPAが普及していき、情報処理は人の手を離れているだけに、その先にあるものにニーズがあるのでしょう。

・美意識がない成功は一過性のブームに終わる

勢いのあるビジネス、ブランド力のある会社でも世間的な常識感からかけ離れたことしていると非難を浴び、あっという間に勢いを失うという事例が急激に増えてきているように思います。
一時的に成功するのではなく、持続的に世の中に受け入れられるような取組、ビジネスモデルにする必要があることの重要性が今までになく増しているのではないでしょうか。


世の中に新たな価値を提供しようとするにあたり、デザイン思考・アート思考の二つをよく聞くようになってきています。

その二つをイラストにまとめたのがトップに掲載したものです。

・デザイン思考

自分の中で共感できる顧客層があり、その顧客層が大好きなものを想定する(なりたいもの、手に入れたいものなど理想を体現したものになりがちです)。それをなぜ好きなんだろう、その核心は何なのだろう、どうすれば手に入れられるのだろうということを考え抜き、形にする。想いが詰まっているものを対象にするだけに、理屈の世界であるスペックを満たすだけでなく、感性の世界であるデザインで愛着の湧くものにしたいところ。

・アート思考

顧客がどうかとは関係なく、自分自身の中に世の中に出したいものがある。(イラスト上ではハートの色の強さが違います)

まずはそれがあった上で、それを具現化するにあたり、自分はなぜ好きなのだろう、より深く考えてみるとどのようなものなのだろう、どうすれば世に送り出せるだろうと考えてみる。

アート思考の分かりやすい例は2018年度下半期のNHKの朝ドラ、まんぷくにおける「まんぷくラーメン」(実際にはチキンラーメン)です。萬平さんにとり、奥様とのデートでの食事の象徴であるラーメンを手軽に世の中に送り出したい、栄養不足の世の中の役に立ちたい。需要予測ではじき出した訳ではなく、ただただ発信者の想い一つから世に出している。

かつてはアート思考は革新的志向のある企業でこそ共有された考え方だったかもしれませんが、今や新規性のある事業を立ち上げる、関わる者にとり、共通言語のようなものになりつつあるのかもしれない、それを読書会を通じて感じました。

なお、この会における読書会での題材本は以下の通りです。良ければ是非ご一読下さい。

世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?
<著者>山口 周
<目次>
第1章 論理的・理性的な情報処理スキルの限界
第2章 巨大な「自己実現欲求の市場」の登場
第3章 システムの変化が速すぎる世界
第4章 脳科学と美意識
第5章 受験エリートと美意識
第6章 美のモノサシ
第7章 どう「美意識」を鍛えるか?

なぜ、世界のエリートはどんなに忙しくても美術館に行くのか?
<著者>岡崎 大輔
<目次>
序 章 なぜ美術鑑賞が仕事に役立つのか?
第1章 「作品の情報」に頼らず鑑賞する
第2章 実は私たちは「アート作品」を見ているようで見ていない?
第3章 「アート作品」は「事実」と「解釈」を分けて鑑賞する
第4章 「3つの問い」に「4つのプロセス」で鑑賞を深める
第5章 【実践編】アート作品を鑑賞するときの8つの視点
終 章 なぜ新しい時代に「アート」が重要なのか

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