本人確認方法の解説 - ③セミセルフレジ/セルフレジ

はじめに

クレジットカードを使って会計する際の本人確認方法を解説するシリーズ。

第2弾は、ドラッグストアやスーパーマーケットなどで多く見かけるようになったセミセルフレジとセルフレジにおけるフローに詳しく迫ります。

前回は従業員操作レジを取り上げているので、まだ読まれていない方は以下リンクから是非!

支払選択画面上の「クレジット」ボタンを選択し、画面指示に従ってレジに取り付けられた決済端末を操作。

キャッシュレス対応したセルフレジの操作に慣れてきた方も多いのではないでしょうか。

実はごく稀に、接触ICカードを除く支払媒体がセルフレジで使えない場合があります。その背景や具体的ケースにも触れつつ詳しく見ていきたいと思います。


不正利用発生時のお店への影響

磁気データを不正に盗み取る機械を使い、カード情報を転写して偽造カードを作成する「スキミング」手口の実態について以前紹介しました。

ICチップが埋め込まれていない磁気カードは、このスキミング手口によって容易に不正利用されてしまう脆弱な側面があります。

磁気カードでは、従業員による目視でのサイン確認に依存すると同時に、偽造カードが使われているかどうかを従業員が瞬時に見極めることは不可能だからです。

我々消費者が所持する磁気カードが、不正利用されるリスクは今もなお存在しているのです。

カード会社は原則として、カード会社への届出の60日前からの損害を補償しています。今後もし不審な請求があった場合は、すぐにコールセンターへ連絡しましょう!


不正利用の被害に遭っても、我々消費者は届け出ることで損害から保護されますが、お店側の負担が非常に大きいのはご存知でしょうか。

不正取引が発生すると、お店はアクワイアラ(加盟店契約会社)と締結している「加盟店契約」に基づいて損失処理を協議することになっており、最終的にお店が不正損失を被るケースがあります。

具体的には、商品損失(不正購入された商品が戻ってこない)、売上未回収(不正利用代金をカード会員へ返金)の二重損失を受ける「チャージバック」のリスクです。


チャージバックの対象となる取引は加盟店契約に明示されており、お店が本人確認を怠ったことにより発生した不正取引はそのうちの1つとなっています。

したがって、お店は「不正利用であること」を常時検知できる運用体制を構築しなければなりません。

では顧客自身が会計するセミセルフレジやセルフレジを入れているお店では、どのようにして本人確認を実施しているのでしょうか。


本人確認方法 - セミセルフレジ/セルフレジ

従業員操作レジを置いた有人窓口がお店の中にあるかないかで、セルフレジにて利用できる支払媒体は異なります。先ずは以下の表をご覧ください。

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繰り返しとなりますが、我々消費者がレジに取り付けられた決済端末を操作し、自ら会計を済ませるのがセルフレジの特徴です。

したがってセルフレジが確実に処理できるのは、①取引金額が¥10,000以下の取引、②接触ICカード取引の2つとなります。

¥10,000以下の取引は、支払媒体に関わらず「スピーディーな決済」と「不正利用被害の抑制」を両立させる観点から本人確認は原則スキップされます。

接触ICカードでは、従業員による目視でのサイン確認ではなく、暗証番号(PIN)入力により本人確認が行われるため、本人確認の不確実性が解消できます。

裏を返せば、¥10,000を超過した磁気カード取引は原則として、セルフレジで取り扱うことはできません。

セルフレジでは、従業員は別業務にあたっています。本人による利用であることを厳密にチェックするための万全な運用体制を整えることは困難でしょう。


ですがセルフレジとは別に、従業員操作レジを置いた有人窓口がお店の中にある場合は、磁気カード利用者を救済することができます。

具体的には、従業員が顧客付き添いのもと、セルフレジでの会計を中止し、従業員操作レジでの会計を再度実施するよう誘導します。

従業員操作レジであれば、顧客がサインをする際に、従業員はカード裏面のサインと照合し、本人による利用であることを目視確認することが可能となります。


先ほどの表にある通り、取引金額が¥10,000を超過すると、支払手段と媒体に応じて本人確認が行われます。

セルフレジにて非接触ICカードをかざして決済しようとすると、接触IC取引と同じように暗証番号による本人確認が原則行われます。

Apple Payを搭載した非接触ICデバイスをかざした場合は原則として、CDCVM(指紋認証など)による本人確認が行われます。

その一方、暗証番号入力を許容しない非接触ICカードや、生体認証機能を搭載していない非接触ICデバイスも存在します。

その際は、磁気カード取引と同様に、サインによる本人確認が例外対応として必要となりますが、従業員操作レジを置いた有人窓口がお店の中にない場合は、取扱不可となるのです。


最後に

以上、セミセルフレジやセルフレジにおける本人確認の種類や違いを解説してみました。

従業員操作レジに比べると複雑化しているように見えますが、決済端末による本人確認に依存しているのがセルフレジの特徴と言えるでしょう。

決済端末がどのように取引を都度承認しているかについて気になる方は、以下リンクより是非チェックしてみてください。

次回は無人レジについてです!

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