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牧原大成 WBCメンバー外

3月に開幕するWBCのメンバーが明らかとなり、ホークスからは近藤健介甲斐拓也周東佑京が選出されました。

その他候補となっていた牧原大成藤井皓哉は落選となりました。

藤井はオリックスの宇田川や阪神の湯浅といった速球とフォークを武器としたリリーフ投手とタイプが重なることから、役割が被ってしまいました。また本人も今季から先発転向を示唆していたことからシーズンに標準を合わせた形です。

個人的に残念だったのは牧原大成の落選です。

選手枠の限られているの国際大会においてユーティリティプレイヤーの存在はとても大きいと個人的に思っています。
中でも内外野を高レベルで守れ、且つ走塁、打撃でも貢献を見込める牧原は1チームに1人欲しい選手ではないかと思います。

そこで今回はなぜ牧原がメンバーから落選したのか
意図など考察できればと思います。


牧原大成という選手

簡単に牧原大成の特徴について
最大の武器はその優れたUT性です

本職は遊撃ですが、チームには絶対的なレギュラーとして今宮健太が長らくプレーしているため、ここ数年レギュラー不在の二塁をメインに守っていました。しかし昨季から二塁には若手の三森大貴が抜擢され、また柳田悠岐の負担を減らす関係でセンターにコンバートされ、シーズン中には松田の不調と栗原のケガ、周東のコロナ感染などの影響で三塁も経験しました。

セカンド、ショート、サード、センターといずれも守備負担が大きいポジションを任されましたが、その全てで高いレベルの守備を披露しました。

二遊間では俊足を生かした広い守備範囲、サードでは反応の速さ、センターも持ち前の守備範囲に加え、決して強肩ではないものの、内野手特有のハンドリングの速さを生かした素早い送球でランナーを刺すなどセンスの高さが伺えます。

走塁も2年連続で2桁盗塁、2020年の短縮シーズンは6盗塁ですが、2019年も10盗塁12盗塁死と足を使えるのも大きな武器です。

また打撃も昨年急激なブレイクを果たしました。2020シーズンまでの牧原といえば、ツボにハマった時の長打や固めうちを見せる一方で、ゾーン管理がとてつもなく悪く、早打ち傾向が見られました。よくいえば積極的、悪くいえばどんなボールにでも手を出していくスタイルで四球を選べず、出塁率が低いため持ち前の足を活かせないシーンが多々見られました。

しかし2021年に改善の兆しが見られると、2022年は一気に開花。厳しいボール、特に低めの落ちるボールの見極めができるようになり、打率、出塁率は過去最高をマーク。規定には僅かに届きませんでしたが、ゾーン管理ができるようになったため、打撃のブレイクは偶然ではないと思われます。


なぜ落選したのか

今季選出された野手のメンバーを見てみます
捕手 :中村悠平、甲斐拓也、大城卓三
一塁手:山川穂高
二塁手:牧秀悟、山田哲人、中野拓夢
三塁手:村上宗隆、岡本和真、周東佑京
遊撃手:源田壮亮
外野手:近藤健介、鈴木誠也、吉田正尚、ヌードバー

見てわかるようにかなり攻撃に重きを置いています。
打力に関して言えば牧、山田はNPBの中では傑出しており、源田が最も高レベルなショートストップであること、村神様は説明不要。鈴木誠也、ヌードバー、吉田のメジャーリーガー3人を揃えた外野陣も強力です。
これに惑星最高の野球選手ことショウヘイ オオタニがDHとして入るので、打線の完成度は近年稀に見るクオリティの高さでは無いでしょうか。
一方で守備での貢献を求められているのは中野や源田、外野では鈴木やヌードバーあたりか。
セカンドとサードに偏りが見られますが、牧、村上、岡本はファーストを、山田がファーストとサード、中野が二遊間、周東はファースト以外の内野と外野の経験もあるため(特に中野は今季からセカンドを本職に)、ある程度のUT性は確保されている印象は受けます。
一方外野は近藤、吉田は主にレフトが主戦場、鈴木誠也もカープ時代はセンターを任されていた時期もありましたが、カブスではライトで起用されていました。となるとヌードバーくらいしかまともにセンターを守ったことがありませんが(ヌードバーも本職はライト)。内野登録の周東が昨年はセンターでも出場しているため、万が一のオプションとしては確保されており、牧原が入り込む余地はないように見えます。

牧原と代表選手との比較

実際比べてみてどうなのか昨年の成績と今季のUT枠である中野と周東を引き合いにして比べてみたいと思います。※データは記事よりdelta社のものを引用


セカンド守備


サード守備


ショート守備


外野守備


実際に守備を見てみるとセイバー的には牧原の守備は思ったより良くないというのが正直な感想でした。今回参照しているのは主に守備範囲を評価するUZRのみのため、一概に周東や中野の守備が牧原よりも守備が優れているとは言えませんが(特に周東は送球に課題)、少なくとも牧原の守備はアクロバティックなプレーが多い印象の割に実際の守備力は良くはない可能性があります。

走塁の評価に関しては周東は言わずもがな。中野と牧原ではUBRなどの指標を見ないと比較はできませんが、それぞれ貢献はできるのかなと

打撃成績

守備の次に争点となるのは打撃でしょうか。
やはり打撃に関しては牧原が一枚上手になります。打率の割に出塁率が低いのはやはり課題ですが、率と長打を今季のNPBのUT枠で残せるのは牧原でしょう。
レギュラー起用が濃厚な源田でさえ打撃指標は悪く、wRC+はリーグ平均以下の92となっているので打撃での貢献は見込めないでしょう。
そもそもショートができてwRC+100を超える攻撃力を有するのは今宮(ソ)、上川畑(日)、坂本(巨)ぐらいなので希少な存在ではありますが、1つのポジションで打撃の穴を作るのはなるべく避けたいですし、現メンバーで源田の次点のショートには間違いなく中野でしょうからここは今大会の日本代表の課題となりそうです。

また外野に目を移すと、両翼は吉田、鈴木で固めてセンターがヌードバーが基本的な起用法になると思われます。周東も足を活かした守備範囲の広さ、また肩も決して弱くはないため、ヌードバーに何かトラブルがあった際の保険としては機能するでしょう。打撃に関しては牧原に分がありますが、ヌードバーが不調で攻撃力に重きを振るのであれば、センター鈴木、両翼を吉田、近藤というファイアーフォーメーションも敷くことは可能です。()

こうしてみると、案外牧原ではなく、周東、中野の選出いいのでは?
攻撃的なショートであれば右打ちの今宮の方がいいのでは?
センター課題を持ち出すなら、塩見や近本と比較しないといけないのでは?

確かにショートでは今宮も候補かもしれませんが、源田同様にUT性には欠けてしまいますし、選手起用の柔軟性が失われてしまいます。
あとは本職センターの選手は入れるべきだとは私も思います。結局今季サブ的にセンターを守ったヌードバーや周東がメインで守らなければいけなくなっているのはあまり好ましくはないかなと。
だったら指標は悪くとも、センターでの出場機会が多く、かつ打撃での貢献も見込める牧原を入れるのはあながち間違ってはいないのかなと
牧原が優れているのは1枠で内外野ほとんどのポジションをカバーでき、尚且つ打撃、走塁でも貢献が見込めるということです。
冒頭でもお話しした通り、枠が限られる国際大会で重要なのは枠を節約できるUT選手です。
内外野全てのポジションでセイバー上優秀な指標で守れる選手がいれば誰も苦労しませんし、指標を見るまで牧原の守備が優れていないと思っていた方は少数なのではないでしょうか。これに加えて攻撃力も優れているときたら、一体それほどの選手がNPBにどれだけいるのかと。
オプションの数が大事な大会でこれだけ戦術に幅を持たせられる選手はいませんよ。

NPB最高のUTだと思うんですがね

最後は私の偏見に振り切ってしまいましたが、何かあった時の牧原選出いかがでしょうか。

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