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仕事観が変わった経験

閲覧いただきありがとうございます。かずです。
本日は資格試験の話を置いといて、仕事観が変わったお話です。(具体的な企業名が伝わらないように、一部ぼかしています。矛盾があるかもしれませんが、ご了承下さい。)

コロナ前、私が所属する会社(上場企業)とベンチャー企業で、合弁会社(ジョイントベンチャー)を設立し、ベンチャー企業社長をトップに据え、当時30才の私も経営に参画していました。

ベンチャー企業は創業者がある業界の有名人でそこで得た資金と信用を元手に設立し、社長は各種メディアに取り上げられ、時代の寵児かのような扱いでした。複数の大企業からの増資も受け、事業を拡大させていきました。役員従業員全員で前を向いてまじめに努力しています。

しかし、ベンチャー企業は増資で得た資金を元手に拡大していくたびに、既存店舗間のカニバリゼーションや店舗経営人材の不足といった内部環境の悪化と、模倣店舗や市場ニーズの変化への対応に悩まされました。(創業者の信用をベースとした拡大ですので、戦略的な出店エリア選定も難しい。)
ワンマンで社員への当たりが強い社長には、取り繕ったキレイな情報しか報告されません。各店長は、客単価を下げ、経費をかけ、客数ばかりを伸ばし、まずは顧客獲得に注力しているとアピールしました。(当然ながら利益は悪化する一方)

私が参画していた合弁会社も同様に、近隣の新規店舗に苦しめられ、力及ばず、市場から撤退する事としました。

合弁会社の社員の転職支援や撤退に向けた経済面を含む協議がまとまりかけた矢先、ベンチャー企業の創業者が帰らぬ人となってしまいました。
そうなると求心力を失ったベンチャー企業は、真っ逆さま。ベンチャー企業の役員は次々と対立、クビになり、一気に系列の複数社が全て破産する事となりました。最終的には、創業者一族が大切にしていた老舗企業も、息子に引き継げず、外部企業に事業譲渡の上、老舗企業は破産するという倫理的に課題のある結果にまで発展しました。(借入金や違約金数億円は帰ってきません。もちろん法的な問題はありませんが。。。)
合弁会社も1年を大きく超える期間ベンチャー企業の裁判所の破産手続きに参加することとなりました。(幸い経済面では大きな損失は出ませんでした。)

大変なのは人です。ベンチャー企業の100名近くにもなる社員に破産を伝える場が忘れられません。

当社は破産しました。民事再生ではありません。破産です。みなさまの給与は現時点でお支払い出来ません。債権として破産管財人に届け出て下さい。各店舗責任者は店頭に破産した旨等を記載した文書を掲出して下さい。店舗の財産はもう当社では動かすことができません。
ベンチャー企業社員説明会より

4月に入社した新入社員もおり、入社からほとんど経たないうちの破産です。世間はコロナ禍に入り、社会情勢も非常に不安定です。
涙で説明ができない役員、呆然としている従業員。誠実に質問に答える役員。破産を想定していた従業員。クビになりいるだけで一言も発さない元社長。
その光景は一生忘れる事はないでしょう。

確かに高い目標を掲げた挑戦は大切です。資金調達後には出資者(私の所属企業含む)からのプレッシャーで拡大優先、慎重さにかける気持ちもわかります。
ただ、新入社員など弱い立場の他人の人生を背負うのであれば、最悪の事態を回避するリスク管理にも本気になる必要があります。
また、経営者が責任に押しつぶされてもいけません。

このような悲惨な結果を生む企業、経営者、社員を減らすために、微力ながら経営支援をしていきたい。
経営者に寄り添い、時には耳障りの悪い生の情報を伝え、イケイケの社長に代わって守りの経営を考えるのもコンサルで出来るかなと。
中小企業診断士資格※を取得したのも、この出来事がきっかけの一つです。
※2023年2月時点で未登録です

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